アマゾン ウェブ サービスジャパン(AWSジャパン)は6月10日、大規模システムのクラウド移行を後押しするサービスやツールについて説明会を開催した。
AWSへの移行の動機は、DX(デジタル変革)や運用の自動化など多岐にわたるが、特に「コスト削減」が多いという。説明会に登壇した技術統括本部 レディネスソリューション本部 本部長/プリンシパルソリューションアーキテクトの瀧澤与一氏は「新しいことにチャレンジする予算を得るために、既存のITシステムをAWSに移してコストを削減しようというケースが多い」と述べた。
瀧澤氏はサービスやツールの紹介に当たり、その前提となるAWSへの移行方法を紹介した。方法は複数あるが、オンプレミスで動いている仮想サーバーを「Amazon EC2」へ移行するリホストがよく用いられる。そして移行するサーバーの数が多い場合、自動化するためにマイグレーションツールが必要になるという。
今回紹介されたものの中には、例えばコストを削減しながら移行を簡素化/迅速化する「AWS Application Migration Service(AWS MGN)」がある。同サービスでは、移行前に中断することなくテストを実行できるという。
具体的な流れは、まずAWS MGNに対応したエージェントを移行元のサーバーにインストールする(図1)。エージェントは既存環境の情報を取得するとともに、設定などのデータを暗号化してAWS上のステージング環境に複製し、動作検証を行う。問題がなければ、本番環境で実稼働を始める。
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また、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)向けの「AWS SaaS Boost」も新たに提供している。同ツールは、オープンソースのリファレンス環境を用意し、ISVが既存のソリューションの提供形態をSaaS(Software as a Service)型に移行することを支援する。SaaSの標準的な基盤となるリファレンス環境を用意することで、ISVの従業員は自社のパッケージ開発などコア業務に注力できるという。
AWS SaaS Boostでは、まずISVがGitHubのリポジトリーなどにある自社のソースコードをAWSのISV SaaS環境に展開する(図2)。ISV SaaS環境には、課金/請求や簡易分析などの機能も用意され、アプリケーションはコンテナー化してテナント環境に展開される。分析機能ではテナント上のシステムの稼働状況などが可視化される。
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