仕事場のITへの投資を優先--経営層が考えるべきコミュニケーションのあり方 - (page 2)

國分俊宏 (シトリックス・システムズ・ジャパン)

2021-06-11 06:45

 つまり同じデジタル化という文脈でも、経営層が使用しているツールとデジタル世代の従業員が好んで使用しているツールが異なっており、デジタル世代は経営層よりもコミュニケーションにメッセージアプリを活用していることが明らかになりました。

図2:業務で使うテクノロジー 図2:業務で使うテクノロジー
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より良いコミュニケーションで向上する生産性

 デジタル化で生産性を向上し、働き方改革につなげたいと考えている経営者は多くいるでしょう。しかし、使いやすいツール、いつでもどこからでも働ける環境を提供するツールは、スマホネイティブなデジタル世代にとっては当たり前になりつつあります。その当たり前な環境を提供したうえで、より生産性を高めるための一つの方法はコミュニケーションの改善にあるかもしれません。

 雇用主を選ぶ際に重視する企業文化を尋ねたところ、デジタル世代は次のように回答しました。

  • 自律性、または信頼性の高い環境で働く機会(グローバル83%、日本66%)
  • 自分の実績の認知とそれに見合った報酬(グローバル81%、日本62%)
  • 表彰など、全社的な業績の評価(グローバル78%、日本60%)

 また、日本のデジタル世代の60%が前向きなフィードバックや良い仕事に対する評価が自分の生産性向上につながると答えています。

 承認欲求が高いデジタル世代が仕事で最大限に実力を発揮するためには、経営層をはじめ、ほかの従業員との密なコミュニケーションが常にとれる状態であることが重要です。これは、テレワークで従業員が分散するなか、意識的なコミュニケーションの設計が必要なことを示唆しています。

 テレワーク下、書類の共有やメールでの情報共有ができていても、対面とは異なり、机をまたいだ迅速な情報共有、業務中の気軽な相談・質問ができない中、業務上意思決定が必要な会議だけにコミュニケーションが限られ、発想やアイデアを生み出すような偶発的なコミュニケーションが途絶えてしまっています。そのようなコミュニケーションをメッセージアプリを積極的に活用しているのが、デジタル世代なのかもしれません。

 テレワークを経験し、多くの企業がオフィスを「作業をする場所」だけでなく「偶発的なコミュニケーションを生む場所」として認識し始めています。テクノロジーと働き方の両面から、より良質なコミュニケーションが取れるワークプレイスの設計が、デジタル世代の職場への満足度につながり、彼らの活躍推進につながるのかもしれません。

國分俊宏(こくぶん・としひろ)
シトリックス・システムズ・ジャパン セールス・エンジニアリング本部 エンタープライズSE部 本部長
グループウェアからデジタルワークスペースまで、一貫して働く「人」を支えるソリューションの導入をプリセースルとして支援している。現在は、ハイタッチビジネスのSE部 部長として、パフォーマンスを最大化できる働き方、ワークライフバランスを支援する最新技術を日本市場に浸透すべく奮闘中。

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