デジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性はわかっているし、業務のデジタル化のために早くシステムを導入したいが、「どこから手をつけてよいかわからない」という人も多いと思います。しかし、時間は待ってくれないので何か動き出さなければなりません。
「Claris FileMaker」というソフトウェアを活用すれば、プログラミングの知識がなくても少しの学習で「カスタムApp」という企業内などで活用するオリジナルのシステムを開発することができます。動き出す一歩として、FileMakerでカスタムApp作りをはじめてみてはいかがでしょうか。
今回は、「住所録」を作成するにあたり必要となるデータベースの基本用語や作成の手順を一例として解説するとともに、FileMaker無料評価版の入手方法について紹介します。
データベースの基本用語
表計算ソフトでは、マス目1つ1つのことを「セル」、縦に並んだものを「列」、横に並んだものを「行」、シート全体を「ワークシート」と呼びます。
FileMakerなどのデータベースソフトの場合には、「セル」に該当するものを「フィールド」、「行」にあたるフィールドの1つのかたまりを「レコード」、「ワークシート」にあたる全体のデータを「テーブル」と呼びます。表形式で該当箇所を説明すると図1のようになります。
図1
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ちなみに、表計算ソフトの「列」に該当するのは、「カラム」と呼びます。しかし、これはめったに使わないので覚えなくて構いません。「フィールド」「レコード」「テーブル」は説明の中で頻繁に出てきますので、覚えるようにしてください。
どのような結果や機能が必要なのかの検討
カスタムAppを作る場合、一般的には、1:要件定義(企画)、2:設計、3:開発、4:導入という流れになりますが、今回は、業者に発注するのではなく、自分で作るという前提なので、具体的にどのように作っていくのか解説します。
カスタムAppを作る目的は、データを入力することではなく、入力したデータを使うことにあります。住所録のような簡単なデータベースであれば、求められる結果は、「住所」や「電話番号」を表示することなので、「表示したい情報」と「必要となるデータ」のかい離はありません。
しかし、会社のシステムの場合、単純な検索だけでなく、自動的に請求書を作成したり、数値を集計して進捗状況を確認したりするなどの機能が求められます。画面上にどのような内容の表示が必要なのか、印刷書式はどのようなものが必要なのかなどを考える必要があります。データの入力方法も「キーボード入力」なのか、「プルダウン」にするのか、あるいは「チェックボックス」にするのかなどの検討が必要です。
必要なデータの検討
どのような結果や機能が必要かを考えたら、次はその要素となるデータを決めていきます。たとえば、売り上げ目標の進捗率を表示したい場合には、「目標売上高」と「実際の売上高」のデータが必要になります。「住所録」を作るのであれば、「氏名」「電話番号」「住所」が必要なデータということになります。
その他にも、「固定電話」と「携帯電話」の情報が必要であれば、電話番号を分けて2つフィールドを作る必要があります。また、「郵便番号」「メールアドレス」「誕生日」などのデータも付け加えたいという人は、それらもフィールドに追加する必要があります。
なお、企業などでデータベースを作る場合には、所在地を1つのフィールドにするのではなく、都道府県とそれ以下の町名番地を分けることが多いです。つまり、「東京都港区虎ノ門○―○―○」とするのではなく、「東京都」と「港区虎ノ門○―○―○」を分けるということです。
「都道府県」を分けることで、たとえば、東京都に在住している人だけを抽出するということがしやすくなるからです。このようにデータを分けたとしても、データベースで表示する際は、「東京都港区虎ノ門○―○―○」のように全体を表示することはできるので、分けるか迷った場合には分けておいた方が無難です。データは、分割するより結合することの方が簡単だからです。
さらに、「市区町村」と「地番」を分ける場合、「氏名」を「名字」と「名前」に分ける場合もあります。