松岡功の「今週の明言」

NEC幹部が語った「スーパーシティーの取り組みで最も大事な考え方」とは

松岡功

2021-07-21 12:04

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、NEC 執行役員クロスインダストリーユニット担当の受川裕氏と、Gartner バイスプレジデント, アナリストのKurt Schlegel氏の発言を紹介する。

 

「これからの社会は個人を尊重することが大きなトレンドになる」
(NEC 執行役員クロスインダストリーユニット担当の受川裕氏)

NEC 執行役員クロスインダストリーユニット担当の受川裕氏
NEC 執行役員クロスインダストリーユニット担当の受川裕氏

 NECは先頃、スーパーシティー構想に向けた取り組みに関する記者説明会をオンラインで開いた。受川氏の冒頭の発言はその会見で、10年先を見据えた社会のトレンドについて語ったものである。

 会見で説明があったスーパーシティー構想の内容やその取り組みの内容については関連記事をご覧いただくとして、ここではスマートシティーおよびその特別版であるスーパーシティーの実現に向けた基本的な考え方や姿勢に注目したい。実は、受川氏の冒頭の発言も基本的な考え方の重要なポイントである。

 なぜ、基本的な考え方や姿勢に注目したのか。筆者のこだわりを先に述べると、少し前に大手IT企業の首脳から、「スマートシティーやスーパーシティーの一番の勘所は、事業の進め方やエコシステムの形成などにおいて、ベンダー視点ではなく徹底したユーザー視点が求められることだ。住民に同様のサービスを提供するのではなく、住民一人ひとりの要望に応えたきめ細かいサービスを届けるという姿勢が不可欠だ」と聞き、以来、この考え方でスマートシティーやスーパーシティーのプロジェクトを見るようにしてきたからだ。

 実は、NECのスマートシティーへの取り組みは数年前から幾つかの自治体で実績を上げており、この分野では先行ベンダーの1つだ。筆者も早くからNECのこの分野における活動を取材してきたが、恥ずかしながら、上記のような基本的な考え方や姿勢の重要性を認識していなかった。

 その反省のもと、注目していたところ、受川氏は会見の冒頭で「NECとして2030年にどうありたいか」というビジョンを示した「NEC 2030VISION」を掲げて以下のように話し始めた。

 「私たちが策定した2030VISIONでは、暮らし、社会、環境の3つをテーマとし、その1つである社会では、生活者目線の行政サービスによって社会の安定を図ることなどを挙げた」

図1:NEC 2030VISIONの大項目(出典:NEC)
図1:NEC 2030VISIONの大項目(出典:NEC)

 この説明の後に続いたのが、冒頭の発言である。ちなみに、図1が 2030VISIONの大項目である。また、図2がNECとしてスーパーシティーに取り組む意義を掲げたものだ。図に示すような社会課題と事業機会があり、とりわけスーパーシティーについては法的な整備も進んできたことから、「事業を推進する絶好のタイミングなので、さらに加速させて、この分野で大いに貢献してきたい」と受川氏は意気込んでいた。

図2:NECがスーパーシティーに取り組む意義(出典:NEC)
図2:NECがスーパーシティーに取り組む意義(出典:NEC)

 同氏は今回の会見で「生活者目線」という言葉を幾度も使っていた。つまりは先述した「ユーザー視点」と同じである。生活者目線でのこの分野における同社のさらなる取り組みに、引き続き注目していきたい。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]