本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、AWSジャパン 執行役員エンタープライズ事業統括本部長の佐藤知成氏と、日本マイクロソフト 執行役員常務エンタープライズ事業本部 本部長の五十嵐毅氏の発言を紹介する。
「AWSクラウドはあらゆる業界のミッションクリティカルな領域で活用が進んでいる」
(AWSジャパン 執行役員エンタープライズ事業統括本部長の佐藤知成氏)
AWSジャパン 執行役員エンタープライズ事業統括本部長の佐藤知成氏
アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)は先頃、クラウドサービスにおける業種別展開の一環として、建設業向けビジネスについてオンラインで記者説明会を開いた。佐藤氏の冒頭の発言はその会見で、AWSクラウドが幅広い業種で活用されていることを述べたものである。とりわけ、エンタープライズ事業責任者として「ミッションクリティカルな領域での活用」を強調していたのが印象的だった。
会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは佐藤氏の冒頭の発言に注目したい。
同氏は会見の冒頭で、「国内外の企業DX(デジタルトランスフォーメーション)におけるクラウド活用の潮流」と題して、AWSクラウドのエンタープライズ事業について現況を説明。冒頭の発言と共に図1を示し、AWSクラウドの利用が広がっていることを印象づけた。
図1:幅広い業種で活用が進むAWSクラウド(出典:AWSジャパン)
さらに筆者が注目したのは、「(日本政府が推進する)Society 5.0のプラットフォームを支えるAWS」として明示した図2だ。筆者は初めて目にする図だったので非常に興味深かった。佐藤氏はこの図を示しながら、次のように説明した。
図2:Society 5.0のプラットフォームを支えるAWSクラウド(出典:AWSジャパン)
「AWSは社会全体のDXを実現するため、オープンでセキュアなクラウドサービスを提供する。業種ごとの個別の要件と、業種共通で必要なエコシステム連携の両立を実現するアーキテクチャーを提供していく」
今回、佐藤氏の発言を取り上げたのは、AWSジャパンの執行役員エンタープライズ事業統括本部長として記者会見の場に登場したのが、筆者の知る限り初めてだったこともある。
同氏は2020年6月にAWSジャパンに入社し、現職に就いた。その前のおよそ2年半は、日本マイクロソフトで執行役員常務パブリックセクター事業本部長を務めた。さらにその前は、SAPジャパンにおよそ12年間在籍し、さまざまな事業の要職を歴任。もっとさかのぼれば、1985年からIT業界に従事しているキーパーソンのひとりだ。筆者もSAPジャパンの頃から記者会見などで幾度もお会いしてきた。
そんな佐藤氏に、会見の質疑応答で「エンタープライズ事業の観点からAWSクラウドのアドバンテージは何か」とあえて聞いてみた。すると同氏は次のように答えた。
「クラウドビジネスで先行し、幅広い業種のお客さまに利用されている確固たる実績もあり、サービスの拡充ぶりや豊富な事例、さまざまな工夫といった『厚み』が最大のアドバンテージだ」
改めて、AWSジャパンでエンタープライズ事業を統括する佐藤氏の手腕に注目していきたい。