メインフレームはこれから求められる分野がある可能性も
以上が発表の概要だが、今回この新製品を取り上げたのは、以前からメインフレームを対象としたレガシーからオープンシステムへの移行、さらに最近ではクラウドの活用が今後のデジタル時代に求められていると言われる中にあって、とはいえメインフレームは必要とされる分野で引き続き利用されており、その中核となるOSは進化し続けていることを改めて示して見せた発表だと感じたからだ。
IBMが今回の新OSの発表と同時に公表したIBM Institute for Business Valueの報告書「メインフレーム上でのアプリケーションモダナイゼーション」によると、調査対象となった経営層の71%が、メインフレームベースのアプリケーションは自社のビジネス戦略の中核になっていると回答しており、今後3年間に、ハイブリッドクラウド環境でメインフレーム資産を活用する組織の割合は2倍超に増加することが予想されるとしている。
自社の調査報告書なので、都合の良い結果を取り上げているところはあるだろうが、筆者がこれまで取材してきた感触からも、メインフレームは古くからの基幹業務システムとしてハードウェアとソフトウェアが密接に連携しているとともに、メインフレームの堅牢性や信頼性に対する評価は他のシステムに比べて圧倒的に高い。
また、IBMは今回の新OSについて、より迅速かつ容易にインストールおよびアップグレードできるようにしており、早期ユーザーによる実証段階では、これまでのz/OS V2.3および2.4と比較して、30%も速くインストールできることが確認できたとしている。また、タスクの合理化および自動化によってもたらされる簡素化された管理機能により、専門のスキルを必要としない場合もあるとも述べている。
こうしたオペレーションの改善とともに、今回発表されたように、セキュリティ機能はもちろん、ハイブリッドクラウドへの対応やAI機能の強化ぶりを見ると、むしろこれからメインフレームが求められる分野もあるのではないかとも感じる。
さらに、こうしたIBMの動きに対して富士通やNECなど日本のメインフレーマーがどんな戦略をとっていくのかも注目されるところだ。