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調査

コロナ禍でワークロードのクラウド移行が加速--ヴィーム調査

渡邉利和

2021-08-30 13:27

 ヴィーム・ソフトウェアは8月25日、グローバルで実施されたユーザー調査「2021 Cloud Protection Trend Reports」に関する報道関係者向けのオンライン説明会を開催した。米Veeam Software エンタープライズ戦略担当バイスプレジデントのDave Russell氏は、まず調査の概要について「2020年11月にクラウド環境でのデータ保護に責任を負う意思決定者1550人を対象に実施したもの」と説明した。

Veeam Software エンタープライズ戦略担当バイスプレジデントのDate Russell氏
Veeam Software エンタープライズ戦略担当バイスプレジデントのDate Russell氏

 調査で分かった顕著なトレンドとして、「ハイブリッド、別の言い方をするなら複数の異なる種類の実装技術/メソドロジーを併用することが主流になる」(Russell氏)と指摘した。同氏が示したグラフは、「本番環境のデータがどこに格納されているかの比率」を聞いたもので、調査は2020年と2021年の2回実施されており、それぞれ現状と2年後の予想を聞いている。

 つまり、「2020年時点の現状」と「2020年時点での2022年の予想」、そして「2021年時点の現状」と「2021年時点での2023年の予想」という2組のデータがセットになっている形だ。また、データの格納先については「オンプレミス(自社データセンター)にある物理サーバー」「オンプレミス(自社データセンター)でホストされる仮想マシン(VM)」「サービスプロバイダー(クラウド)でホストされる仮想マシン(Hosted VM)」の3種となる。

ワークロードのクラウド移行に関する調査結果のまとめ。左が「オンプレミスの物理サーバー」、中央が「オンプレミスのVM」、右が「クラウドでホストされるVM」で、それぞれ2020年の実態、2021年の実態、2020年の時点での2022年の予測、2021年の時点での2023年の予測、となっている。2020年の時点で予測した2022年の値よりも、2021年時点での実態がより大きく変化していることが読み取れる
ワークロードのクラウド移行に関する調査結果のまとめ。左が「オンプレミスの物理サーバー」、中央が「オンプレミスのVM」、右が「クラウドでホストされるVM」で、それぞれ2020年の実態、2021年の実態、2020年の時点での2022年の予測、2021年の時点での2023年の予測、となっている。2020年の時点で予測した2022年の値よりも、2021年時点での実態がより大きく変化していることが読み取れる

 まず、物理サーバーは2020年時点で38%を占めていたが、2022年には29%に減少すると見込まれていた。しかし、2021年時点で既に29%にまで減少しており、2023年には24%にまで減少すると予想されている。コロナ禍で物理サーバーからの移行が加速したものとみることができる。

 次に、オンプレミスでホストされるVMは、2020年時点で30%、この時点では2022年も30%で横ばいだと予測されていた。しかし実際には2021年に23%に減少しており、2023年予測は24%の微増と予想されている。これは、オンプレミスのVMは物理サーバーの減少分の受け皿にはならないと見られているということだと解釈できるだろう。

 実際に、クラウドでホストされるVMは、2020年に32%あり、2022年には41%まで増えると予想されていたが、実際には2021年に既に47%まで増加しており、さらに2023年には52%に達すると予想されている。基本的にはオンプレミスの物理サーバーが減少し、その分クラウドホスト型のVMが増加するとの予想通りになったわけだが、その移行ペースはコロナ禍で加速し、2020年時点での予測を大きく上回った形だ。

 IaaSとしてのクラウドの活用傾向に関する調査では、一般に考えられているような「セカンダリーサイト」「DR(災害対策)用途」「開発環境」としての用途よりも、本番環境のワークロードの実行環境として利用されている率が高いという結果だった。

 「通常の本番ワークロード(“Normal”production workloads)」が55%、「優先度の高い本番ワークロード(“High-priority”production workloads)」が57%、「開発用途(Development, non-production)」が36%、「DR用のセカンダリーサイト(As a secondary site for Disaster Recovery)」が21%という結果だ。

 また、本番環境でパブリッククラウドを活用している期間については、「2年以上(More than 24 months)」が41%で最多となっており、Russell氏は「多くの組織にとってクラウドは決して新しいものではない」としている。

クラウドの利用状況。本番ワークロードの実行プラットフォームとしてクラウドが既に定着しており、しかもグローバルでも41%が既に2年以上の稼働実績があると答えている
クラウドの利用状況。本番ワークロードの実行プラットフォームとしてクラウドが既に定着しており、しかもグローバルでも41%が既に2年以上の稼働実績があると答えている

 なお、これはグローバルでの集計結果だが、アジア太平洋地域および日本(APJ)だけを抽出すると、「2年(24カ月)以上利用している」という回答が56%という値になるという。APJに特徴的な傾向が見られた別の調査としては、「クラウド上で開発されたワークロードをオンプレミス(データセンター)で本番稼働させる計画がある」との回答がグローバルで58%で、APJではさらに高い比率だったという。

 この点に関する分析は特に語られなかったが、オンプレミスからクラウドに一方的にワークロードが移動しているだけということではなく、クラウド移行したもののオンプレミスに戻すケースや、あるいはクラウドで開発したもののオンプレミスで実運用するといった逆向きのベクトルも相当規模で発生していることが分かる。とはいえ、全体としてはオンプレミスからクラウドに移行する流れが顕著であることから、量的にはクラウドに移行するワークロードの方が大多数であることは間違いないだろう。

 DR戦略においてクラウドサービスがどのように活用されているか、という質問では、「Disaster Recovery as-a-Service(DRaaS)」を利用しているという回答がグローバル平均では27%なのに対し、APJでは顕著に高い比率だったという。また、DR機能を利用してシステムの運用を再開する場合にどのような手法を採用しているかという質問に関しては、「オンプレミスでシステムを再開。データはクラウド上に置いたままリモートマウントの形でアクセスする」という回答がグローバルでは40%でトップになったのに対し、APJでの最多回答は「オンプレミスでシステムを再開。データはリモートからオンプレミスにコピーして戻す」だった(グローバルでは25%で2位)。この点も、グローバルとの差異が大きかったポイントとして注目される。

 最後にRussell氏はグローバルとAPJでの違いが顕著だったポイントとして、クラウド上のデータのバックアップのためにどのようなメディアを利用しているかという点を挙げた。同氏によれば、APJではクラウドを2年以上利用しているという回答がグローバルよりも高かったことから「新しい技術を積極的に採り入れる」傾向があるように見える反面、クラウド上のデータのバックアップのために物理的な磁気テープを使っているという回答がグローバル平均よりも50%以上高かったという。同氏はこれを「さまざまなテクノロジーを組み合わせて使う」という適材適所的なアプローチと理解したようだ。こうした新旧テクノロジーの混在も含め、現在はまだ過渡的な状況と見て良さそうだが、コロナ禍を受けて移行が加速しているのも事実であり、あと数年で安定的なバランスに到達すると予想される。

クラウドを利用したDRの実現手法。「クラウドベースのストレージをデータ保存に活用(リストアの際はオンプレミスに書き戻す想定)」が40%、「セカンダリーサイトとしてクラウドにホストされた環境を活用」が39%とほぼ同じ比率となっている。また、「専用サービスとして提供されるDRaaS(Purpose-Build Disaster Recovery as-a-Service)を活用する」はグローバルで27%だが、APJではより顕著に高い値だったという
クラウドを利用したDRの実現手法。「クラウドベースのストレージをデータ保存に活用(リストアの際はオンプレミスに書き戻す想定)」が40%、「セカンダリーサイトとしてクラウドにホストされた環境を活用」が39%とほぼ同じ比率となっている。また、「専用サービスとして提供されるDRaaS(Purpose-Build Disaster Recovery as-a-Service)を活用する」はグローバルで27%だが、APJではより顕著に高い値だったという

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