松岡功の「今週の明言」

NECが提供する「DXオファリング」の注目すべき点とは

松岡功

2021-09-17 11:24

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの森田隆之氏と、グーグル・クラウド・ジャパン ソリューション&テクノロジー部門 技術部長の寳野雄太氏の発言を紹介する。

「当社が培ってきた知見を集約してお客さまのDX推進を支援していきたい」
(NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの森田隆之氏)

NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの森田隆之氏
NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの森田隆之氏

 NECは先頃、デジタルトランスフォーメーション(DX)事業の取り組みについてオンラインで記者説明会を開いた。森田氏の冒頭の発言はその会見で、DX事業に臨む姿勢を述べたものである。

 森田氏と同社 執行役員常務デジタルビジネスプラットフォームユニット長の吉崎敏文氏が説明役を担った会見の内容は関連記事をご覧いただくとして、まずは印象に残った森田氏の会見冒頭の発言を紹介しておこう。

 「当社では全社横断組織のデジタルビジネスプラットフォームユニットが中核となって、お客さまのDX推進を支援している。社内で取り組んできたDXの知見や業種ノウハウ、研究所のコア技術などの社内リファレンスを集約して生きたナレッジとしてパッケージ化するとともに、当社グループのDX人材のパワーを結集して臨んでいる。市場の声に常に耳を澄ませ、お客さまと共に進化し続けるエコシステムを形成していきたい」

 今回のNECの説明の中で、筆者が最も注目したのは、顧客に提供する「DXオファリング」だ。図1が、そのコンセプトである。森田氏に続いて説明に立った吉崎氏は、「DX事業はまずスピーディーに進めることが重要だ。そこで、図の左側に青色の枠で記してある『イノベーション創造』『お客様接点改革』『業務変革』といったDXの3つの目的を見据え、当社が保持している価値や経験、技術を知見として集約し、それをオファリングとして提供する形で事業を進めている」と述べた。

図1:DXオファリングのコンセプト(出典:NEC)
図1:DXオファリングのコンセプト(出典:NEC)

 その上で、改めて「DXオファリングはNECの知見のプリセットだ」と強調した。

 オファリングという言葉は他のITベンダーも使っているが、筆者は「ベンダーが推奨するパッケージ製品」といった軽いイメージで捉えていたところもあった。しかし、NECは今回の会見でオファリングを「知見の集約」と幾度も語っていた。ならば、逆にDXオファリングをどれだけ拡充するかで、NECのDX事業の力量が分かるのではないか。そんな見方でも注目している。

 図2は、図1の考え方に基づいて展開しているDXオファリングのメニューである。「業種共通DXオファリング」と「業種別DXオファリング」があり、図の右側に記されている社会と暮らしのDX「NEC Safer Cities」は今後新たに提供していく領域だという。

図2:DXオファリングのメニュー(出典:NEC)
図2:DXオファリングのメニュー(出典:NEC)

 DXオファリングは、ユーザーから見て自社に必要なソリューションかどうか分かりやすいのではないか。今後はその拡充ぶりと、ユーザーおよびパートナーを合わせたDX推進エコシステムの中で、どのように「共創」の材料として活用していけるかがカギとなりそうだ。

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