ピュア・ストレージ・ジャパンは10月5日、セルフサービス型のストレージ基盤「Pure Fusion」とKubernetes向けのDatabase as-a-Service「Portworx Data Services」を発表した。同社が創業以来一貫して追及してきた「シンプルさと高信頼性を提供」というビジョンをさらに拡大するものと位置付けられる。

(左から)ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏、プリンシパル・テクニカル・ストラテジストの岩本知博氏、クラウド・アーキテクト(Portworx)の溝口修氏
同社 代表取締役社長の田中良幸氏は記者会見で、2009年の創業以来のさまざまな取り組みを振り返った上で、これからの10年のキーポイントとして「統合されたクラウド運用と調達モデル」「コンテナー上に構築された最新のクラウドネイティブアプリケーション」「今日のインフラストラクチャーのモダナイズ」の3点を挙げた。Pure FusionとPortworx Data Servicesも、この方針に基づく具体的な製品/サービスの実装と位置付けられる。

同社が推進する「モダンデータエクスペリエンス」の発展。インフラのモダン化から運用のモダン化へと発展し、さらにコンテナー化されたアプリケーションのモダン化にも踏み込んでいる
続いて、同社 プリンシパル・テクニカル・ストラテジストの岩本知博氏がPure Fusionの詳細を説明した。同氏は、従来のストレージのプロビジョニング作業の問題点として、作業自体が煩雑な上に、ユーザーとストレージ管理者の間で「キャッチボール」が発生してしまうことでどうしても時間を要してしまう点を指摘。

Pure Fusionの主な特徴
さらに「ユーザーが気にしているのは容量と性能だけ」(岩本氏)で、使用するストレージ領域がどのストレージ/アレイから切り出されているのか、RAIDレベルの設定がどうなっているのかといった詳細に関心があるわけではないことから、Pure Fusionでは容量や性能、保護レベルなどに基づいてストレージ管理者があらかじめメニュー化したサービスカタログを作成しておき、ユーザーはそこから必要な性能と容量を選択するだけでストレージの割り当てが完了するセルフサービス化が実現するという。
こうしたストレージプロビジョニングのサービスカタログ化は以前から他社でも実現されている例があるが、Pure FusionのポイントはAI(人工知能)を活用したクラウドベースの管理ツールである「Pure1」と統合されている点だ。Pure1ではストレージアレイの全てのログをクラウド上に送信し、そのデータを解析することで予防保守や各種シミュレーションなどが行える。このため、「ユーザーが要求する性能の領域を指定された容量だけ確保するにはどのアレイから切り出すのが最適なのか」「既存の領域を別のアレイに移動したら性能はどう変化するか」をPure1で判断でき、Pure Fusionによるサービスの実現を支援する役割を果たす。Pure Fusionは年内にベータテストを開始し、2022年に一般提供開始となる予定だ。
次に、同社 クラウド・アーキテクト(Portworx)の溝口修氏がPortworx Data Servicesについて説明した。同社が2020年に買収したPortworxはKubernetes環境向けのデータサービス基盤であり、この買収によって同社はコンテナー化されたクラウドネイティブアプリケーションに対するデータサービスを提供できる体制を整えている。

Portworx Data Servicesの概要と対応する各種データベース製品
今回発表されたPortworx Data Servicesは、アプリケーション開発者向けにデータサービスを提供するもので、あらかじめコンテナー化れたさまざまなデータベース(オープンソースまたは商用製品)をセルフサービスに近い形でKubernetesに導入し、運用できるというもの。これにより、アプリケーション開発者はデータサービスの部分に手を掛けず、アプリケーションコードの開発に注力できるようになる。Portworx Data Servicesは9月末から早期アクセス版の提供が開始されている。