コンタクトセンター基盤を提供するジェネシスクラウドサービスは10月8日、消費者のニューノーマルにおける行動の変化とカスタマーエクスペリエンスの関係性について調査レポートを発表した。
同調査は2020年12月~2021年4月、世界各国の18歳以上の男女1万1000人以上の消費者を対象に、マーケットリサーチ企業のSavantaと実施。アジア太平洋地域では、オーストラリア、中国、インド、日本、シンガポールで計3000人、日本の回答者は500人だった。コロナ禍が健康、幸福感、社会、企業における顧客接点へ与えた影響について理解を深めることを目的としている。回答者の年齢、男女、地域の割合は、各国の全体人口に合わせているという。
カスタマーサービスは消費者とブランドの間において重要な顧客接点だが、この接点は徐々にオムニチャネル化しており、AI(人工知能)やチャットボットの活用によって日々進化している。
同調査では、コロナ禍においてブランドと接する際のチャネル利用に焦点を当てた。コロナ禍以前のチャネル利用について日本の消費者に尋ねたところ、対面でのカスタマーサービスが64%と最も高く、アジア太平洋地域の平均値である51%を大幅に上回った。だが、コロナ禍ではわずか19%に減少した。
一方、通話でのカスタマーサービスはコロナ禍以前とコロナ禍のどちらも60%だった。デジタルチャネルの利用率は全体的に増加し、それまで積極的にオムニチャネルの環境を整備していた企業は報われたといえる。コロナ禍以前とコロナ禍における各デジタルチャネルの利用率を比較したところ、Eメールでの接点は37%から44%、SMS(ショートメッセージサービス)・メッセージングアプリは10%から14%、チャットボットを活用したオンラインチャットは14%から20%、オペレーターとのオンラインチャットは22%から31%に増加し、その成長率はアジア太平洋地域で最も大きかった。
コロナ禍前とコロナ禍の各チャネルにおける利用率の変化(出典:ジェネシスクラウドサービス)
デジタルチャネルのメリットは数多くあるといい、消費者は好きなタイミング・方法でブランドと接することができるほか、オペレーターの業務効率も向上する。
同調査では、デジタルチャネルが予想外のニーズにも応えていると分かったという。日本の消費者の56%が知らない人と電話で話すことに不安を感じていると回答しており、アジア太平洋地域の平均値である38%を上回った。また、チャットボットよりオペレーターと話したいと思う消費者は53%と、同地域平均の72%を大きく下回った。