企業の倫理面(エシカル)について消費者の関心が高まっている。中国ウイグル自治区の人権問題では、大手アパレル企業が欧州を中心に消費者の反感を買ったことは記憶に新しい。これに対し、ビジネスネットワーク事業を展開するオープンテキストは、「サプライチェーンの可視化と俊敏性が求められている」という。
世界的に高まるエシカル製品への関心
「倫理的に調達・生産された製品を購入することは重要であるか」という問いに対し、世界12カ国の消費者の81%が「重要」と回答――オープンテキストが発表したエシカルサプライチェーンに関する消費者の意識調査だ。
調査は日本とカナダ、米国、英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリアなど12カ国の2万7000人を対象としたもので、回答社の88%がサステナブル(持続性)で責任ある調達による製品の購入を希望しており、83%が「倫理的に生産された商品に多くの費用を支払う」と回答した。
調査結果
エシカル製品の優先的購入について日本は、現時点で58.4%と他国に比べて関心が低いものの、将来の意向については78.2%に上る。オープンテキスト 代表取締役社長の反町浩一郎氏は、「将来的な伸び率が高く、急速に高まる前兆といえる」と見る。
オープンテキスト 代表取締役社長の反町浩一郎氏
ソーシャルメディアなどで一気に情報が広まる中で、エシカル製品への消費者の関心の高まりは、企業にとって見過ごせない動きといえる。さらには、欧州の一部の国で企業のエシカル調達に関連した法制度が導入されており、日本も追従する可能性がある。「日本企業もエシカルサプライチェーンにしっかり取り組まなければならない時期に来ている」と反町氏は述べる。
オープンテキストは、主力のコンテンツとプロセス管理のほか、ビジネスネットワークGXS事業も展開する。元々はGeneral Electronicsの情報サービス部門がスピンオフして立ち上がった企業で、1975年に日本市場にも進出している。オープンテキストは、2014年に同社を買収し、その後SaaSアプリケーションの強化、可視化、分析、トラッキング機能などを補強しており、「情報のハブ」と位置付けている。
反町氏によると、現在Fortune 1000企業の9割を含む世界12万社が参加し、このネットワーク上で発生する商取引額は、世界の国内総生産(GDP)の10%に相当する900兆円を上回るという。
エシカルサプライチェーンの実現をどのように支援できるのか。オープンテキストは、「サプライチェーンの高度化が必要」とする。
同社では、サプライチェーンの高度化を(1)サプライチェーンのデジタル化、(2)サプライチェーンのデジタルトランスフォーメーション、(3)サプライチェーンレジリエンスとエシカルサプライチェーン、(4)アダプティブサプライチェーン――の4ステップで進めることを提案している。
まずはデジタル化を進め(ステップ1)、業務横断型のプロセス改革と可視化(ステップ2)、管制塔のようなサプライチェーンコントロールタワーの確立によるリスク検知と予測(ステップ3)を経て、最終的に状況へすぐ対応できるサプライチェーン(ステップ4)を目指すものだ。
ステップ3を経て、初めてエシカルサプライチェーンに到達することになるが、同社インダストリー営業本部長の菅原勇人氏は、「日本はステップ1の段階だが、欧米企業はステップ3に移行しつつある」と話し、「日本は2~3年遅れている」と付け加えた。