海外コメンタリー

ランサムウェアで悪用され続けている古い脆弱性--対策に課題も

Danny Palmer (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2021-10-20 06:30

 サイバー犯罪者がランサムウェアの配布で悪用している脆弱性の一部は、何年も前に発覚したものだ。しかし、セキュリティアップデートが適用されていないために、攻撃者は依然としてその脆弱性を悪用し続けることができている。

 Qualysのサイバーセキュリティリサーチャーらは、共通脆弱性識別子(CVE)が割り当てられた脆弱性のうち、最近のランサムウェア攻撃で最も多く悪用されているものを洗い出した。その結果、いくつかの脆弱性はほぼ10年前に報告されており、ベンダーからのパッチも公開されているものだと明らかになった。しかし、多くの組織は利用可能であるにもかかわらずセキュリティアップデートを適用していないが故に、ランサムウェア攻撃の格好の標的となったままになっている。

 この分析で詳述されている5つの脆弱性のうち、最も古いのは「CVE-2012-1723」という、Oracleの「Java Platform, Standard Edition 7」(Java SE 7)が使用している「Java Runtime Environment」(JRE)に潜んでいる脆弱性であり、2012年に報告されたものだ。リサーチャーらによると、この脆弱性は「Urausy」ランサムウェアを送り込むためによく用いられている。このランサムウェアは基本的なものだが、一部の組織は適切なセキュリティパッチを適用していないため、依然として攻撃の糸口を残したままとなっている。

 リサーチャーらが解説しているその他2つのよく利用されている脆弱性は、2013年に報告されたものだ。「CVE-2013-0431」はJREに潜んでいる脆弱性であり、「Reveton」ランサムウェアによって悪用されている。また、「CVE-2013-1493」はOracleのJavaに潜んでいる欠陥であり、「Exxroute」ランサムウェアによって悪用されている。いずれの脆弱性も修正パッチは8年以上にわたって利用可能となっている。

 そして「CVE-2018-12808」は、「Adobe Acrobat」と「Adobe Reader」に潜んでいる3年前に報告された脆弱性であり、フィッシング電子メールや悪意のあるPDFファイルを介してランサムウェアを送り込むために用いられている。この脆弱性を悪用する攻撃は、「Ryuk」ランサムウェアと、多くの人々がその後継と考えている「Conti」ランサムウェアの双方によって使用されていることが知られている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]