サイバー犯罪者がランサムウェアの配布で悪用している脆弱性の一部は、何年も前に発覚したものだ。しかし、セキュリティアップデートが適用されていないために、攻撃者は依然としてその脆弱性を悪用し続けることができている。
Qualysのサイバーセキュリティリサーチャーらは、共通脆弱性識別子(CVE)が割り当てられた脆弱性のうち、最近のランサムウェア攻撃で最も多く悪用されているものを洗い出した。その結果、いくつかの脆弱性はほぼ10年前に報告されており、ベンダーからのパッチも公開されているものだと明らかになった。しかし、多くの組織は利用可能であるにもかかわらずセキュリティアップデートを適用していないが故に、ランサムウェア攻撃の格好の標的となったままになっている。
この分析で詳述されている5つの脆弱性のうち、最も古いのは「CVE-2012-1723」という、Oracleの「Java Platform, Standard Edition 7」(Java SE 7)が使用している「Java Runtime Environment」(JRE)に潜んでいる脆弱性であり、2012年に報告されたものだ。リサーチャーらによると、この脆弱性は「Urausy」ランサムウェアを送り込むためによく用いられている。このランサムウェアは基本的なものだが、一部の組織は適切なセキュリティパッチを適用していないため、依然として攻撃の糸口を残したままとなっている。
リサーチャーらが解説しているその他2つのよく利用されている脆弱性は、2013年に報告されたものだ。「CVE-2013-0431」はJREに潜んでいる脆弱性であり、「Reveton」ランサムウェアによって悪用されている。また、「CVE-2013-1493」はOracleのJavaに潜んでいる欠陥であり、「Exxroute」ランサムウェアによって悪用されている。いずれの脆弱性も修正パッチは8年以上にわたって利用可能となっている。
そして「CVE-2018-12808」は、「Adobe Acrobat」と「Adobe Reader」に潜んでいる3年前に報告された脆弱性であり、フィッシング電子メールや悪意のあるPDFファイルを介してランサムウェアを送り込むために用いられている。この脆弱性を悪用する攻撃は、「Ryuk」ランサムウェアと、多くの人々がその後継と考えている「Conti」ランサムウェアの双方によって使用されていることが知られている。