業務アプリケーションの利用や活用を定着させるためのユーザーインターフェース(UI)機能を提供するWalkMeは10月21日、“デジタルアダプション”の動向と流行を解説するメディア向け勉強会を開催した。デジタルアダプションとは、アプリケーションの利用を定着化に導く取り組み。Gartnerは「2025年までに70%の組織が、アプリケーションのユーザー体験を改善するため、テクノロジースタック全体に渡ってデジタルアダプションソリューションを使用する」と予測している。
WalkMe 代表取締役社長 道下和良氏
WalkMe 代表取締役社長 道下和良氏は「たとえばERP(統合基幹業務システム)は『ベストプラクティスに合わせる』ことが求められた。専門職だけが使う時代は良かったが、全社員が利用する現在のSaaSには当てはまらない。テクノロジー側から人間に寄り添う」とデジタルアダプションの意味を説明した。
デジタルの習熟度で生産性に差
WalkMeは、オンプレミスのアプリケーションやウェブアプリケーションの画面に操作方法などを案内する画面を重ね合わせたり、フォームなどに内容を代理入力したりする。操作方法や入力すべき内容が分かりづらいと感じるエンドユーザーをサポートし、ツールやサービスの利用状況の分析を通じて、利用定着化を図れるようにすることを主眼に置く。
WalkMeが2020年8月27日から約2週間実施した調査によれば、コロナ禍によるリモートワーク時にデジタル習熟度の差異が影響を及ぼしていることが分かった。「個人の業務生産性が改善した」と回答した割合はデジタル習熟度が高い方々は8割におよぶが、約2割が改善していないと回答している(有効回答数658)。
ワークライフバランスについても未習熟の方々は約6割が「改善していない」と回答している。企業からの支援についても同様だ。デジタル熟練者ほど不満は少なく、未習熟者の46%は不足があると回答している。
具体的には「マニュアルが分かりにくい。ページが多く、現実的に使えない(47%)」「相談できる人が周りにいなくて困る(31%)」「そもそも何にどう使うのか分からない(29%)」といった声が並ぶ。
WalkMeはSaaSやウェブアプリケーション、一部のデスクトップアプリケーションに「1枚の画面を重ねるオーバーレイで、アプリケーションによって異なる使用性の差を埋める」(道下氏)といった機能を備えるデジタルアダプションプラットフォームだ。
企業が導入したERPなど各SaaSの操作方法を操作方法を、オーバーレイと操作ナビゲーションが担い、省力化につながる自動操作やデータ入力補助、操作内容を蓄積したデータから利用状況を分析してPDCAサイクルを回す。
デスクトップに常駐して新規採用人材の教育などに利用できる「Workstation」、SAP製アプリケーションや「Microsoft Teams」にオーバーレイ可能な「Desktop」といった機能も加わっている。開発の負担はWalkMeコンテンツのテンプレートカタログである「Solutions Gallery」やコミュニティーメンバーが投稿する「Community Solution Templates」が役立つ。
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