VMWorld

攻めと守りの「二刀流DX」を推進するヴイエムウェア--国内事例を披露

大河原克行

2021-11-29 06:00

 ヴイエムウェアは11月25~26日の2日間、年次イベント「VMworld 2021 Japan」をオンラインで開催した。「IMAGINE THAT-未来を描こう」をテーマに、ゼネラルセッションなど2日間で150以上のセッションを配信し、アプリケーションのモダン化やクラウド、ネットワークとセキュリティ、デジタルワークスペースなどの同社の最新ソリューションを紹介した。

 初日の基調講演には、6月に最高経営責任者(CEO)に就任したRaghu Raghuram氏と、同じく社長に就任したSumit Dhawan氏が登場。クラウドとアプリケーション分野でVMware が横断的に推進している新たなイノベーションを紹介した。開催2日目にはヴイエムウェア 社長の山中直氏が国内事業の方向性や注力領域について言及したほか、国内の先進的なユーザー事例も紹介。NTTドコモやリコー、北海道などから直接説明が行われた。

ヴイエムウェア 社長の山中直氏
ヴイエムウェア 社長の山中直氏

攻めと守りの二刀流DX

 2日の基調講演で山中氏は、まず米大リーグで活躍しているエンゼルスの大谷翔平選手を例に挙げて、デジタルトランスフォーメーション(DX)のアプローチに触れ、「日本企業には、攻めと守りのデジタル戦略が求められている。大谷選手は、攻めの野手としても、守りの投手としても活躍したが、大切なのは守りである投手においても、打者に対する攻めがあるという点。攻めと守りの両方が大切である」と切り出した。

 攻めのデジタル戦略では、新規事業開発、継続的でアジャイルなサービスの創出、デジタル人材の育成、人工知能(AI)やIoT、仮想現実(VR)などのテクノロジー活用を挙げる一方、守りのデジタル戦略では、既存ビジネスのイノベーションや基幹システムへの対応、システムのブラックボックス化の課題などを挙げた。

 「二刀流の戦略は、レガシーとモダン二軸で取り組むことになり、これが変革につながる。レガシーを進化させ、モダンを探索する両立が必須。また、リフト&シフトとクラウドネイティブ、仮想マシンとコンテナー、柔軟性とセキュリティ、アジャイル開発と従来開発、スピードとコストなど、これまで二軸のものを『OR』で捉えることが多かったが、VMwareは、これらの二元化する課題を『AND』に変えて、二刀流の変革を支援する」と述べた。

攻めと守りなど「二刀流」「AND」のアプローチが必要とする
攻めと守りなど「二刀流」「AND」のアプローチが必要とする

 なお、10月に米VMwareが開催した年次カンファレンス「VMworld 2021」の基調講演では、Raghuram氏が「Power of “AND”」を打ち出していた。山中氏は、これを「二刀流」という言葉に置き換えて、同社の考え方を訴求して見せた。

 講演後のメディア取材に応じた山中氏は、「大谷選手が二刀流でMVPを獲得したように、日本企業が守りと攻めの二刀流でMVPを獲得できるようVMwareが支援する。長年お客さまに寄り添いビジネスをしており、オンプレミスについても深く理解している。だからこそ、攻めのDXだけでなく既存システムのモダナイズなど含め現実的なデジタル戦略やDXを提案できる。お客さまの二刀流を支援してすぐMVPを獲得できるわけではない、企業、通信事業者、政府・自治体と、それぞれの業界の背景をきちんと理解しながら、二刀流のデジタル戦略を支援し伴走していく」などと述べた。

 企業には、守りのDXとしてマルチクラウドを提供する一方、攻めのDXではアプリケーションモダナイズを支えるコンテナーの標準アーテキクチャーとして「VMware Tanzu」を提供し、事業変革のためのDXを支援できるとした。通信事業者には、守りのDXで高信頼、高品質、コスト競争力のある基盤テクノロジーの「VMware Telco Cloud Platform」を提供する。攻めのDXでは、低遅延・広帯域の5G(第5世代移動体通信)、エッジをサポートするインフラとして「VMware SD-WAN/SASE」やVMware Telco Cloud Platformなどを示した。政府・自治体には、守りのDXで行政職員のモバイル/デジタル化による働き方改革を支援する「Anywhere Workspace」、安全で利便性の高い住民サービスを実現するクラウドとして「VMware Cloud」を提供する。山中氏は、「日本がデジタル先進国として世界をもう一度リードすることを目指し、日本社会に貢献したい」などとした。

企業における二刀流のアプローチ
企業における二刀流のアプローチ
通信事業者における二刀流のアプローチ
通信事業者における二刀流のアプローチ
行政における二刀流のアプローチ
行政における二刀流のアプローチ

 また講演の中で山中氏は、日本市場での取り組みを振り返り、「VMware日本法人の第3章が始まる」とも語った。第1章は、2003年の日本法人設立。東京・恵比寿の小さなオフィスでサーバー仮想化を浸透させ、「サーバーの選択の自由を提供してきた」と山中氏。2007年の東京・浜松町への移転が第2章で、「Software-Defined Data Center(SDDF)」を訴求、「サーバー、ストレージ、ネットワークを仮想化し、ソフトウェアでデータセンターをコントロールすることによって、ハードウェアの選択の自由を提供してきた」(山中氏)とする。

 2021年には東京・田町に移転。現在は第3章で、クラウドモダナイゼーション、アプリケーションモダナイゼーションを支援する。「マルチクラウド環境の仮想化や抽象化、アプリケーションプラットフォームの抽象化により、クラウドの選択の自由、アプリケーションプラットフォームの選択の自由、コントロールの両立の実現を支援することになる」と述べた。

 山中氏は、同社の歴史でITシステムやデジタルの“サイロ”を仮想化や抽象化の技術で埋めてきたとし、「マルチクラウド環境で仮想マシンに実装される従来のアプリケーションや、コンテナーに実装される新たなモダンアプリケーションが最適に分散配置され、それに対して一貫性がある運用管理、ネットワーク、セキュリティを実現するのが、VMwareの『Digital Foundation』になる」と話す。

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