調査

量子コンピューティング、7割のエンタープライズ幹部が近く導入を検討--Zapata調査

Michael Gariffo (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2022-01-13 07:30

 量子コンピューター向けソフトウェアを開発するZapata Computingが新たに公開したレポートによると、同社の調査に回答した企業幹部のうち、69%は自社における量子コンピューティングの活用方法を模索しているという。

 同社の調査は、年間売上高が2億5000万ドル(約290億円)を超える世界的な企業の最高情報責任者(CIO)や最高技術責任者(CTO)を含む「バイスプレジデントあるいはそれ以上のレベルにある企業幹部」300人を対象に実施された。それによると、回答者の大半は既に量子コンピューティングを検討し始めており、74%は量子コンピューティングソリューションを導入しなければ「取り残される」と考えているという。

 こうした前向きな見方を後押ししているのは、量子テクノロジーが競争上の優位性をもたらすという確信だ。量子コンピューティングの導入を始めている組織の41%は、2年以内に何らかの形で競争上の優位性が得られると見込んでいる。また、回答者の12%は既にメリットを享受している、あるいは1年以内に享受するだろうと答えている。

 こうしたメリットが期待できそうな分野に関しては、機械学習(ML)やデータアナリティクスが最も一般的な対象となっているようだ。米国では71%、世界では51%が量子テクノロジーの具体的な適用分野としてこれらを挙げている。また、量子テクノロジーの統合に最も熱心なのは運輸業界であるようだ。運輸企業では幹部の63%が、量子テクノロジー導入の初期段階にあると答えている。同レポートは、こうした意気込みの背後に、量子コンピューティングが現在の世界的なサプライチェーン問題や物流のボトルネックを解消する上で役立つという期待があるのだろうと指摘している。

 回答者の過半数は量子テクノロジーの可能性に大きな期待を抱いているようだが、半数近くはその複雑さにも同意しており、既存システムへの統合は「量子テクノロジーの採用における最大の障壁」と捉えている。

 また、回答者の28%は、量子コンピューティングの予算が既に100万ドル(約1億1600万円)を超えていると答えており、米国の回答者に限るとその割合は44%にも達する。

 米国が量子コンピューティングの研究に積極的に投資することで初期のリーダーという地位を獲得したのは明らかだ。Zapataの調査によると、米国組織の36%は「量子テクノロジー採用の初期段階、あるいはさらに進んだ段階」にあり、世界の平均に比べるとかなり高い値となっている。

 調査すべての中で、最も多くの回答者が同意したのは、量子コンピューティングテクノロジーを導入する上で社外からの支援を得る必要があるという点だ。96%もの回答者は、成功する上で、信頼できる量子コンピューティングベンダーとの関係が必要になると答えている。その一方、回答者の73%はこのような関係によるロックインを懸念しており、47%はそうした結果になることに関して「非常に、あるいは極めて懸念している」と答えている。

 今回の調査に関するレポートはZapataのサイトから入手可能だ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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