多くのプロジェクトでは、そのプロジェクトのためだけに専用のPCを用意するのは、やり過ぎである。そういうときに便利なのがシングルボードコンピューター(SBC)だ。
SBCで最も認知度が高いのは、間違いなく「Raspberry Pi」だろう。その汎用性や低消費電力、信頼性、使いやすさは、世界的に知られている。しかし、Raspberry Piの代わりに使用可能なSBCも多数提供されている。それらを使用すれば、より高度なパフォーマンス、AI、VRサポート、産業用途に対応したボードなど、ユニークな機能をプロジェクトで利用することが可能になる。
通常のRaspberry Piよりも小型のSBCが必要な人もいるかもしれない。
それでは、そのような製品を見ていこう。
「Odroid XU4」
手のひらサイズのデスクトップコンピューター
スペック:
- サムスンの「Exynos 5422」(「Cortex-A7」×4、2GHzの「Cortex-A15」×4のオクタコアCPU)
- 「Mali-T628 MP6」
- Package-on-Package(PoP)構造の2GBのLPDDR3 RAM
- eMMC 5.0 HS400に対応したフラッシュストレージ
- USB 3.0ホスト×2、USB 2.0ホスト×1
- ギガビットイーサネットポート
- ディスプレイ用のHDMI 1.4a
Odroid XU4は高性能でありながらエネルギー効率も高いので、デスクトップコンピューターの代わりにSBCを使うのであれば、筆者はこのボードを選ぶだろう。最新の「Ubuntu」を含むさまざまな種類の「Linux」を使用できるだけでなく、「Android」を実行できる柔軟性も備える。
「UDOO BOLT V8」
VR、AR、AIプロジェクトにハイエンドノートPC級のパフォーマンスを提供
スペック:
- クアッドコア/8スレッド、2.0GHz(ブースト時は3.6GHz)の「AMD Ryzen Embedded V1605B」
- 「AMD Radeon Vega 8」グラフィックス
- DDR4 ECC SO-DIMMソケット×2(デュアルチャネル、64ビット、最大32GBをサポート、2400 Mt/s)
- 32GBのeMMC 5.0 High Speed Drive
AAAゲームからハイエンドVR、暗号通貨マイニング、AI、IoT、エッジコンピューティングまで、UDOO BOLTV8はほとんどのことを処理できる。ただし、このボードの価格は459ドルと非常に高価である。
「NVIDIA Jetson Nano Developer Kit」
人気の高いAIフレームワークを多数サポート
スペック:
- クアッドコア、1.43GHzの「ARM A57」
- 128コアの「Maxwell」GPU
- 4GB、64ビットのLPDDR4 RAM
- USB 3.0×4、USB 2.0 Micro-B
- ギガビットイーサネット、M.2 Key E
- HDMIとDisplayPort
NVIDIA Jetson Nano Developer Kitは、画像分類、物体検出、セグメンテーション、音声処理などのアプリケーションで複数のニューラルネットワークを並行して実行できるシングルボードコンピューターだ。「TensorFlow」や「PyTorch」「Caffe」「MXNet」など、多くの一般的なAIフレームワークもサポートする。作業をさらに容易にする完全なデスクトップLinux環境もある。