アナリスト、メディア、カンファレンスなど、誰もがクラウドの優位性を話題にする中、世界全体が今や「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud」などのプロバイダーのクラウドで動いていると考える人がいてもおかしくないかもしれない。しかし、現時点でIT環境が「すべてクラウド」となっている組織はわずか7%だ。
これは、Foundry(以前のIDG Communications)が先頃、ITに関わる意思決定者850人を対象に実施した調査の要点の1つだ。近い将来に向け、クラウドコンピューティングに勢いがあることは明らかだが、オンプレミスシステムの置き換えや撤去、バックグラウンドへのシフトが実現するまでに多くの作業が必要とみられる。
調査では、半数が自社組織の全体的なIT環境全体は「一部がクラウドにあり、ほとんどがオンプレミス」だと回答した。3分の1以上(34%)は「ほとんどがクラウドだが、一部はオンプレミス」だと答えた。「すべてクラウド」とした回答者はわずか7%だった。それでも、今後18カ月でクラウドを選ぶ傾向が高まるとみられ、46%が「ほとんどがクラウドだが一部はオンプレミス」になると回答し、17%が「すべてクラウド」になるとしている。
企業はスキルギャップへの対応にも取り組んでいる。33%はクラウド管理のスキル/専門知識が不足していると答えた。30%はクラウド開発のスキル/専門知識を持つスタッフを見つけることが難しいと回答した。それでも、約80%はクラウドへの投資の結果として、平均3.3件の新しい役割と職務を追加したという。追加された役割には以下が挙げられている。
- システム管理者(33%)
- クラウドアーキテクト(30%)
- セキュリティアーキテクト(23%)
- クラウドシステムエンジニア(22%)
- クラウドソフトウェアエンジニア(22%)
多くの組織でクラウドがデフォルトの戦略になっていることは間違いなさそうだ。ITリーダーの72%は、自らの組織で新しいテクノロジー機能をアップグレードまたは購入するとき、クラウドベースのサービスをデフォルトにしていると回答した。
ITインフラそのものの多くが、クラウドベースのサービスを利用している。今後大きく成長すると考えられるクラウドの分野として、もっとも回答が多かったのはSoftware-as-a-Service(52%)で、Platform-as-a-Service(38%)、Security-as-a-Service(37%)、Infrastructure-as-a-Service(36%)、クラウドベースのアナリティクス(33%)がそれに続いた。
またこの調査では、企業が2023年、全IT予算の3分の1近く(32%)をクラウド戦略に配分する予定であることも明らかになった。
興味深いのは、クラウドは企業の柔軟性を高め、事業の拡大に合わせた低コストなイノベーションと成長を可能にするものだとみなされているにも関わらず、ITリーダーは、今でも主にクラウドをIT部門の業務の観点から捉えており、データセンター運営のスリム化や低コスト化、耐障害性の向上などを求めているということだ。クラウド投資を増やす目的となる要素には、次のようなものが挙げられている。
- 災害復旧と事業継続性の実現(40%)
- オンプレミスのレガシーテクノロジーの置き換え(39%)
- 総所有コストの削減(34%)
- 従業員の生産性向上(33%)
- 市場環境の変化に対応するための柔軟性の向上 (32%)
クラウド戦略の導入で課題として挙げられているのは、クラウド経費の管理(36%)、データプライバシーとセキュリティに関する課題(35%)、クラウドセキュリティに関するスキルと専門知識の不足(34%)だった。また、今後または現在のクラウドプロバイダーに期待することについて、最も多かった回答はセキュリティに関する専門知識(41%)で、優れたクラウド管理能力(40%)、コスト管理機能(38%)が続いた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。