アバナードは9月28日、新年度の事業戦略についてオンライン説明会を開催した。会長職に就任した安間裕氏に代わって、9月から代表取締役を務める鈴木淳一氏が今後のビジネス成長や注力施策について語った。
鈴木氏は、2008年にアバナードに入社後、「アプリケーション&インフラストラクチャ」「モダンワークプレース」「ビジネスアプリケーション」「データ&AI」の4つのソリューションエリアを統括し、ビジネス戦略とデリバリーを主導。また、アクセンチュア マイクロソフト ビジネスグループにおいて、通信・ハイテク業界、パブリックセクターを中心に、複数の業界において、ITプランニングやエンタープライズアーキテクチャーデザイン、プロジェクトマネジメントを手掛けてきた。
同氏は、アバナードがアクセンチュアとマイクロソフトによって戦略的に設立されたという経緯を改めて説明し、「両社の強みを兼ね備えた企業として、お客さまのゴールを最大限に実現する戦略とテクノロジーをお届けする」と強調した。
アバナード 代表取締役 鈴木淳一氏
新年度の取り組みとして掲げるのが、「パートナー、顧客との共創体制強化」「誰もが生き生きと活躍し、成長できるよう多様な働き方の支援を強化」「デジタル人財育成と採用の加速」「日本でもっと愛され、貢献する企業に」の4つ。
さらに、ビジネスの成長のための戦略として「各産業ニーズに応える組織体制強化」「水平統合によるクロスソリューション提供の実現」「顧客とGTM(Go To Market)の新しいビジネスモデルを共創」「マイクロソフト、アクセンチュアとの協業加速」の4点に注力していく。「お客さまとの共創で、最適なデジタル変革(DX)を実現していく」(鈴木氏)
同社では現在でも約9割の従業員がリモートワークを継続しているといい、東京と大阪にあるオフィスは引き続き重要なコミュニケーションの場と位置付ける一方で、従業員が一番生産性が高く、働きやすい環境を自分で選択できるようにしているという。また、このことによって採用地域を日本全国に拡大し、地方在住の高いスキルを持ったエンジニアやコンサルタントにも、世界的なプロジェクトでの活躍の場を提供する。
デジタル人材の育成と採用は、アバナードにとって「最重要課題」(鈴木氏)となっており、新たな取り組みとして「アバナードアカデミープログラム」を開始した。これは、異業種・異職種などをはじめとして潜在能力を重視した採用アプローチで、グローバルで確立したトレー二ングプログラムになる。
アバナード 会長 安間裕氏。「代表取締役を務めた間に、従業員は200人から800人になった。主に組織の土台を作ってきた8年半であり、次の世代にバトンタッチする準備を整えた期間だった」と振り返る。
プログラムの受講者は、入社後約2カ月の特別トレーニングを通じ、マイクロソフトテクノロジーへの理解と該当職種に必要なスキルの習得を図る。「このプログラムを通じ、高い潜在能力を持つ多様な人材の採用を促進し、デジタル人材の育成を加速させる」(鈴木氏)
そして、「日本においてよりお客さまに信頼される企業となるため」(同氏)に、同社のブランド認知力の向上を図る取り組みや、企業市民活動にこれまで以上に力を入れていくという。アバナードでは9月22日から、ワールドワイドで「Do what matters」というメッセージのもと、ブランドキャンペーンを開始。顧客企業や従業員による動画の展開や、幅広い広告展開による認知拡大を図っていく。日本からは第1弾としてトヨタ自動車のビデオが公開される予定という。
最後に鈴木氏は、「お客さま、社会から信頼され、日本のDXをけん引するリーディングカンパニーとしての地位を確立することを目指す」と締めくくった。