松岡功の「今週の明言」

テラスカイ社長が説く「パラダイムシフトはビジネスチャンス」

松岡功

2022-10-14 11:19

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏と、クラウドストライク カントリーマネージャーの尾羽沢功氏の発言を紹介する。

「パラダイムシフトの最中にベンチャー企業の伸びるチャンスが必ずある」
(テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏)

テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏
テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏

 テラスカイは10月5日、プライベートイベント「TerraSkyDay 2022」を都内ホテルで開催した。佐藤氏の冒頭の発言はそのキーノートでパラダイムシフトにまつわる自らの見解を述べたものである。

 テラスカイの事業拡大策で目を引くのは、現在13社のグループ会社(図1)を積極的に上場させていく方針を打ち出していることだ。その動きについては理由と共に、2022年3月18日掲載の本連載「テラスカイ社長が語る『新事業を担うグループ会社をボコボコつくる理由』とは」に記したが、さらに佐藤氏は本イベントのキーノートで別の理由として、IT分野のパラダイムシフトが関係していることを説明した。その内容が興味深かったので、冒頭の発言と共に紹介したい。

図1:テラスカイグループの概要(出典:「TerraSkyDay 2022」キーノート資料)
図1:テラスカイグループの概要(出典:「TerraSkyDay 2022」キーノート資料)

 佐藤氏はITの利用形態における劇的な変化をもたらしたパラダイムシフトの変遷について、1960年代前半の「メインフレーム」、1980年代以降の「オフコン/ミニコン」、1990年代後半の「クライアントサーバー」、2000年代後半の「クラウドコンピューティング」の4つを挙げて、次のように説明した(図2)。

図2:IT分野のパラダイムシフト(出典:「TerraSkyDay 2022」キーノート資料)
図2:IT分野のパラダイムシフト(出典:「TerraSkyDay 2022」キーノート資料)

 「まず、メインフレームで象徴的な存在だったのは『IBM System/360』。かつては全く別物だったハードウェアとOSが、この製品では一体になって利便性が高まったことから、大ヒットした。1980年代になってシステムのダウンサイジングが進み、オフィスコンピューター(オフコン)およびミニコンピューター(ミニコン)が登場。オフコンは日本特有のシステムとして、メインフレームに比べて桁違いの価格だったことから、中小規模の企業にも広く普及した」

 「1990年代にはコストパフォーマンスの高いパーソナルコンピューター(PC)が続々と登場し、クライアントサーバーモデルとしてシステム全てに使われるようになった。そして、2000年代後半から4度目のパラダイムシフトとして台頭してきたのが、クラウドコンピューティングだ。今まさに普及期を迎えている。これまでのシステムという概念から、高度化したグローバルネットワークにつながっているコンピューターリソースを利用するという考え方だ」

 その上で、こう強調した。

 「こうした4度にわたるパラダイムシフトが、その都度IT業界にどんな変化をもたらしたか。それはメインプレーヤーが入れ替わったことだ。なぜ、入れ替わるのか。端的に言えば、ビジネスモデルが変わるからだ。例えば、クライアントサーバーモデルからクラウドコンピューティングへの移行では、製品販売からサービス利用のモデルへとシフトする。これが、製品販売でビジネスを成功させてきた企業にとってはそう簡単に変えられず、対応が遅れてしまう事態に陥る。そこに、私たちのようなクラウド専業インテグレーターをはじめ、ベンチャー企業にとってビジネスを伸ばせるチャンスが必ずある。その機会である4度目のパラダイムシフトは、デジタルトランスフォーメーション(DX)のうねりと共にまだまだ続いていくだろう」

 「パラダイムシフトはビジネスチャンス」という思いが、グループ会社を積極的に上場させる佐藤氏の経営スタイルの根幹にあるようだ。

 

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