中央大学は、10月26~27日に米国ノートルダム大学で開催されたGlobal University Summitで、「Rome Call for AI Ethics」(人工知能の倫理的ガイドライン)に署名した。同ガイドラインに署名したのは、日本の高等教育機関で同大学が初という。11月7日に同大学が発表した。
Rome Call for AI Ethicsは、人工知能(AI)の設計、開発、導入に対する倫理的アプローチの確立を目指し、倫理、権利、教育にまつわるコミットメントを行い、国際機関、政府、機関、民間企業が共通の責任感を持って未来を創造することを目指す。2020年にAI倫理の6つの原則「透明性」「包括」「責任」「公平性」「信頼性」「セキュリティとプライバシー」を掲げ、ローマ教皇庁の主導で、Microsoft、IBM、国連食糧農業機関(FAO)、ローマ教皇庁ライフアカデミー、イタリア政府が協賛し、署名している。
中央大学は、Society5.0を視野に、教育・研究の両分野においてAIリテラシーや未来の社会創造に向けたアプローチを進めてきた。2020年にAI&データサイエンスセンターを開設し、AI・データサイエンス全学プログラムを開講。2021年には、ELSI(Ethical, Legal, Social Implications)センターを開設して倫理的、法的、社会的問題について、経済協力開発機構(OECD)などの会合での提言や最先端の研究に関するシンポジウムのほか、産学官を交えた社会連携活動を実施している。
同大学は、人間中心のAI社会において誰がどのような役割を担い、社会的倫理課題に向き合うかを課題として挙げ、このような社会的状況に対応するには、AI研究の新たな方向性、つまり情報学、理工学、人文学を含めた学際的アプローチによるELSIの視点が不可欠だと説明。Rome Call for AI Ethicsへの機関署名を機に、さらに科学イノベーションと社会実装に必要な法制度や倫理観、社会の在り方について追求し、社会のさまざまな課題解決を目指すとしている。