年末が近づくと、テクノロジートレンドを特定して次の1年間を予測するという毎年恒例の儀式が始まる。そうした取り組みは常に興味深いものだが、本質的にリスクも伴う。特に、私たちが近年経験し、引き続き乗り越えようとしている不確実な時代においてはリスクが大きい。
たとえば、2020年には世界的なパンデミックによって仕事の世界が大混乱に陥り、リモートワークを支援するデバイスやサービスがかつてないほど注目を集めて、ハイブリッドモデルへの移行が始まり、この働き方が定着する可能性が高いとみられているが、これを2019年末の時点で予測していた人はほとんどいなかっただろう。
その後、経済がパンデミックに順応し、回復に向かっていた中で、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻が、エネルギー価格の急騰、インフレの拡大、サプライチェーンの問題、広範な景気後退への懸念を招いた。この一連の衝撃がIT業界に重大な影響を及ぼしており、2023年とそれ以降も影響が続きそうだ。
したがって、毎年恒例となっているテクノロジートレンド予測の最大の利点は、予期せぬ事態によって変わりがちな非常に詳細な情報というわけではなく、今後の全体的な方向性を把握するチャンスだろう。
それでは、最新のトレンドと予測を見ていこう。
アナリスト企業の見解
Gartner
Gartnerによる2023年の戦略的テクノロジートレンドのトップ10は、以下の3つのテーマに分類される。
- ITシステムの最適化を通じた信頼性の向上、データ駆動型の意思決定の改善、本番AIシステムの価値の完全性の維持
- 製品の垂直統合の拡大、製品提供の迅速化、あらゆる場所での接続の実現
- ビジネスモデル変革の開拓、従業員や顧客との関わりの改革、新しい仮想市場を活用する戦略の加速
これらすべてのトレンドに共通しているのは持続可能性だ。「テクノロジーに投資するときは、必ず将来の世代を念頭に置いて、環境への影響を考慮しなければならない。『デフォルトで持続可能』という目標を掲げるには、持続可能なテクノロジーが必要だ」とGartnerのDavid Groombridge氏は語る。その考えを支持する意見は、Gartnerの「2022 CEO and Senior Business Executive Survey」にみられる。この調査では、2022/23年に新製品への投資を計画している最高経営責任者(CEO)の80%が、環境の持続可能性をパフォーマンスと品質に次ぐ3番目に大きな要因として挙げた。
Gartnerのトップ10のトレンドは以下のとおりだ。
提供:Gartner