山形東高等学校とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は12月15日、模擬国連をメタバースプラットフォーム「NTT XR Space WEB(DOOR)」上で開催することを発表した。生徒がオンライン上において議論・交渉・決議採択の双方向のコミュニケーションを、リアルと同様に行える環境の創出を目的にしているという。なお、この取り組みは同日から2023年3月31日までを実施期間としている。
メタバース上で模擬国連をする様子
模擬国連は、国連会議などの国際会議を主に中・高・大学生が運営も含めてシミュレーションする教育/サークル活動の一つ。国際政治の仕組みを理解し、国際問題の解決策を考える過程を経験できることから、学生の課外活動としても取り組まれている。
山形東高校では、授業の一環として模擬国連を取り入れているが、新型コロナウイルス感染拡大を鑑み、既存のウェブ会議システムを用いたオンラインでの模擬国連を実施するケースがあるという。しかし、システム上の制約によって多対多の交渉時のディスカッションを十分にできないといった課題を抱えていた。
そこで今回、同校とNTT Comは、レノボ・ジャパン(レノボ)と連携し、メタバース上に模擬国連を再現。遠近感のあるメタバース空間で、参加者はアバターを活用して交渉や発表を行う。アバター同士の距離に応じて声の大きさが変化するため、他の参加者との距離感をより感じることができ、リアルに近い体験が可能になるという。
また、場所や人数の制約をなくし、より多くの生徒が参加できる機会を増やすことで、ディスカッションの流れに応じて話す相手や人数を自由に変えながら、状況に応じた柔軟なディスカッションができるという。これにより、他者との協働を通じて社会問題の解決に主体的に貢献する人材の育成と、国際社会におけるリーダーの輩出に寄与するとしている。
この取り組みでは、NTT QONOQ(コノキュー)が運営するバーチャルプラットフォームDOORを活用し、NTT Comがメタバース空間の企画・構築を行う。
メタバース上には、学生が模擬国連をメインで実施する「模擬国連メイン会場」、検討資料などを展示しながら個別にディスカッションできる「展示ルーム」、会議中や会期期間外に個別に作戦会議を行える「個別検討ルーム」、会議中の休憩、リフレッシュなどを行う「休憩・カフェテリア」の4つの空間を構築する。
双方向のコミュニケーションをリアルと同様に行える環境を創出
また、レノボはメタバース空間の企画・構築・運用支援を行い、山形東高校はメタバース空間を活用した模擬国連を実施する。今後、同校は、山形県内さらには国内外の学校との連携を模索しながら、リアルまたはオンラインにおける模擬国連活動の普及に貢献していく構えだ。