奈良県にある西大和学園中学校・高等学校は、9月9~10日の2日間を通してデジタルテクノロジーを活用した文化祭「清榮祭」を開催した。清榮祭は、生徒自身がオーナーシップを持って企画・運営する同学園最大のイベントだ。
第36回になる2022年度の清榮祭では、生徒で構成される「西大和学園技術統括局」(技術統括局)がアマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)のクラウドサービスを活用し、生徒自らチケット管理のシステム化や動画配信プラットフォームを構築した。清榮祭で活用したAWSのサービスや、行事を支える技術統括局について、同局 局長 栗栖幸久さん、副局長 吉田伊織さん、同学園 情報科 光永文彦教諭に聞いた。
左から副局長 吉田さん(高2)、情報科 光永教諭、局長 栗栖さん(高2)
導入の手軽さと多様なサービスがAWS採用の決め手
新型コロナウイルス感染症の流行で、2020年の文化祭は模擬店や展示、舞台上での演技が規制された。一時中止が危ぶまれたが、コロナ禍でも文化祭を実行したいという生徒の思いから、デジタルテクノロジーを活用した文化祭を行う運びになったという。当初は、3次元コンピューターグラフィックス(3DCG)の校舎制作や演技を「YouTube」で公開するなど、オンラインコンテンツを作るために有志生徒が集まり、技術統括局の前身である「電算部」になった。
2021年には「生徒会電算部」と名前を変え、2022年からは技術統括局として高校生だけでなく中学生からも有志を募り、新たなオンラインコンテンツを制作している。
同局は文化祭だけでなく、体育祭におけるエントリー業務や入学式・講演会などの設営も担う。特に中心となる業務は、行事の開会式・講演会などを撮影し、コロナ禍で学校に来られない保護者や全校生徒に向けてライブ/オンデマンド配信をすること。従来、配信はYouTubeを活用していたが、遅延の発生や、チャットなどの機能に制限があり課題となっていた。そこで栗栖さんが目を付けたのが、クラウドコンピューティングだった。
クラウドを使う最大のポイントは「導入の手軽さ」だと、栗栖さんは説明。「オンプレミスと比較すると、クラウドの方が導入しやすく、費用を抑えられる。実際に使ってみると、構築までの環境が整えられていたので非常に使いやすかった」と話す。
AWSの中から利用するサービスを吟味することが難しかったと話す
また、クラウドコンピューティングを使うに当たりAWS以外のサービスを調べたところ、個人ではアカウントが作成できなかったり、ユーザーインターフェース(UI)が分かりにくかったりといった点からAWSを採用。特に、同局の中核であるコンテンツ配信や3DCGの校舎制作に関して、AWSは一つのサービスで完結していた点が良かったという。