中国は、国家的なスーパーコンピューティングフレームワークを作り上げ、同国のデジタル計画と、人工知能(AI)をはじめとする新興テクノロジーの発展を推進していこうとしている。

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2025年末までに実現が予定されているこのフレームワークによって、国内各地に分散しているコンピューティングリソースがまとめられるとともに、各地域における開発の取り組みが支援されると見込まれている。複数の現地メディアは、中国科学技術部の言葉を引用し、その目的がより協調性の高いシステムを構築し、コンピュート能力を、最も必要としているところへ効率よく割り当てられるようにすることにあると報じている。
同行政部門によるとこのフレームワークは、ビッグデータやAIなど、膨大なコンピューティングパワーを必要とする新興テクノロジーを支援する上で不可欠なものだという。
国営新聞China Daily(中国日報)は、コンピューティング能力の偏在や、標準化の欠如、中国製ソフトウェアの開発/採用に向けたインセンティブの不足といった重要な課題を解決する上で、この取り組みが役立つと報じている。
Yicai Global(一財全球)によると、この国家インフラは同国における全てのスーパーコンピューティングセンター間を接続して、統合コンピューティングサービスプラットフォームを提供することになるという。Yicai Globalは、中国国営のメディアコングロマリットであるShanghai Media Group(上海メディアグループ)の傘下となっているYicai Media Groupの英語ニュースサービスだ。
またこのインフラは、相互接続の流れを加速させ、デジタルテクノロジーのイノベーションを促していくという中国政府の計画を示す、同国のデジタル化ロードマップを推進していく役割も担っている。2月に初めて公開された「デジタルチャイナ」戦略には、2025年から2035年に完了させる、デジタルインフラやデータリソース、デジタルガバナンスをはじめとする、さまざまな分野にわたる13の目標が掲げられている。
IDC中国のバイスプレジデント兼最高リサーチアナリストのWu Lianfeng(呉連峰)氏によると、このロードマップには、5GやIoTのネットワークといったインフラの構築に向けた障害を除去し、その実現を加速させる必要性についても明記されているという。同氏は、このデジタル計画ではデータの集約や活用とともに、データのガバナンスとポリシーを確立する必要性についても提案されていると、3月に公開したレポートに記している。
中国は2022年9月に、GDP(国内総生産)を押し上げるとともに、量子コンピューティング分野と5G通信分野での「ブレークスルー」を実現するために、2030年までに国家ハイテク産業開発区を50カ所ほど増設するという計画を明らかにしていた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。