NTTとNTT東西、NTTドコモは5月12日、2022年度(2023年3月期)の決算を発表した。NTTが2027年度目標の新中期経営計画も発表し、「IOWN」やデータドリブンビジネスなどを柱に据えるとした。ドコモ傘下のNTTコムウェアは法人向け事業をNTTコミュニケーションズと統合する。
NTTの連結業績は、営業収益が前年度比8.1%増の13兆1362億円、営業利益が同3.4%増の1兆8290億円、当期利益が同2.7%増の1兆2131億円、海外営業利益率は同0.9ポイント増の7.2%だった。
セグメント別の状況では、NTTデータを中心とする「グローバル・ソリューション事業」の営業収益が4765億円増の4兆917億円、営業利益が551億円増の2656億円と、増収増益の主要因となっている。
NTTの2022年度決算のセグメント別状況
2023年度(2024年3月期)業績予想は、営業収益で762億円減の13兆600億円、営業利益で1210億円増の1兆9500億円、当期利益で419億円増の1兆2550億円の減収増益を見込み、電力コストの高騰による影響が不透明であるとした。
セグメント別業績予想では、不動産やエネルギーなどのその他事業で1970億円の減収を見込む一方、総合ICT事業で510億円、地域通信事業で124億円、グローバル・ソリューション事業で83億円の増収を予想する。営業利益については総合ICT事業で701億円増、地域 通信事業で275億円増、グローバル・ソリューション事業で264億円増などを見込んでいる。
合わせて発表した新中期経営計画では、新たな価値創造とサステナビリティー(持続可能性)を掲げ、5年間で成長分野に約8兆円を投資。EBITDAは2022年度比20%増の約4兆円を目指すとした。
NTTが新たに策定した中期経営計画の骨子
同社が推進する次世代通信基盤「IOWN」では、ネットワーク向け小型/低電力デバイスを製造する「NTTイノベーティブデバイス」を6月に設立し、デバイスの早期事業化を進める。また2023年度の研究開発投資を約1000億円とし、第6世代移動体通信(6G)や「スーパーホワイトボックス」サーバーおよびデジタルツインコンピューティングなどの実用化を推進する。
データ・ドリブンビジネスは、コンシューマー向けのドコモのスマートライフ事業に今後5年で約1兆円を投資し、AI分析を行うデータプラットフォームを整備してパーソナライズされたサービスを提案していくという。さらに社会および産業DX向けには今後5年で3兆円以上を投資し、AIとロボットの高度化活用によるデジタルツインを推進する。また、データ・ドリブンを支えるデータセンターの拡張と高度化にも5年間で約1兆5000億円を投資し、現状の合計1100メガワット(MW)の能力を倍増させる。
データ・ドリブンビジネスの展開
この他に、顧客体験(CX)の高度化施策として「研究開発マーケティング本部」を新設し、従業員体験(EX)の高度化施策としても自立的なキャリア形成を支援する取り組みなどを進めていくとした。