さくらインターネットは6月16日、2024年1月以降に生成AI向けクラウドサービスの提供を開始すると発表した。民間企業で初めて「経済安全保障推進法」に基づく「クラウドプログラム」供給確保計画に関する経済産業省の認定を受け、同社石狩データセンター(北海道石狩市)に大規模インフラを構築する。
同社は、今後3年間で130億円規模の投資を行い、石狩データセンターにNVIDIAの「H100 Tensor コア GPU」を2000基以上用いた合計2エクサフロップス規模のクラウドサービスインフラを整備する。石狩データセンターは、北海道の気候を生かした外気冷房や水力発電を中心とする100%再生可能エネルギー電源を採用し、二酸化炭素排出量ゼロを実現しているという。
さくらインターネットの石狩データセンター(出典:さくらインターネット)
今回の決定について代表取締役社長の田中邦裕氏は、「現在デジタル分野は4兆7000億円規模の貿易赤字であり、今後『ChatGPT』に代表される外資系AIの利用が増えることで、さらに貿易赤字が膨らむと予想できる。クラウド化が進めば進むほど日本の貿易赤字が増える構図で、日本独自のAI開発と利用、活用は経済安全保障の観点でも重要。大規模クラウドインフラがない日本がAIの発展を加速させるためには、AIに関わるコンピューティングリソースの抜本的強化が必要であり、そのため当社は、日本のこのような構図を打開しデジタル大国日本を目指すべく、3年間で130億円規模のAIに関わるコンピューティング資源の安定供給を確保する」と表明した。
GPUを供給する米NVIDIA 副社長 兼 日本法人代表の大崎真孝氏は、「これまでもさくらインターネットとは、大規模計算リソースサービス『高火力コンピューティング』シリーズで連携しており、このGPUクラウドサービスで採用されるNVIDIA H100 GPUは、大規模言語モデルや生成AIの急増する計算需要に応えることができる。研究開発やサービス提供におけるコンピューティングリソースの確保が容易になり、さまざまな業界で新たな機会を創出し、日本のAIを活用したビジネスを加速させることができると確信している」とコメントしている。