今日、多くの企業は旧来の考え方を引きずっているが故に、自社を成長させる上で問題を抱えている。テクノロジーや、最新のブレークスルーとなっているイノベーションだけに着目し、それを「デジタル変革」と呼ぶことで企業の業績が上向くと期待するのは、業務の持続的な成長の原動力として十分ではない。
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テクノロジーを中心に据えたアプローチでは、コモディティーや商品、サービスによって自社を差別化できなくなっているという点で成功に結びつかない。インパクトを与え、ポジティブな結果を得る上で、エクスペリエンスを注力の対象にしなければならない。そして、顧客や業務パートナーだけに目を向けるのではなく、従業員にも目を向ける必要がある。
顧客であれ、従業員であれ、誰もが魅力あるエクスペリエンスを望んでいる。これらの人々は、今起こっている物事と、次に来る物事に参画したいと考えているのだ。Salesforceの成長およびイノベーション関連のエバンジェリストであり、ベストセラー作家でもあるTiffani Bova氏は、「顧客に自社のブランドを好きになってもらう最短の方法は、従業員に自らの仕事を好きになってもらうことだ」と述べている。
このため、従業員エクスペリエンス(EX)と顧客エクスペリエンス(CX)の重要性が同程度だという点を、企業とそのエコシステム全体が理解しているようなイノベーション文化の創出に向け、企業のリーダーらは呼びかけていくことになる。
デジタルマインドセットの変革
企業変革を成功させるには、業績を伸ばし続ける必要がある。企業は以下の3点を心にとどめつつ、EXとCXを重視したデジタル変革の最適な実践に向けて戦略的思考をシフトさせていかなければならない。
- イノベーションの文化は人の心意気によって醸成されていく。
- 最初から完璧を求めると失敗に終わる。
- シナジー効果を有する文化の創出にはコミュニケーションが欠かせない。
デジタル変革の成否を決めるのはテクノロジーではない。ツールやシステムは生まれては消えていく。デジタル変革の核心は人、すなわち従業員と顧客に存在しているのだ。