「Google for Education」で進化する教育現場--元教員グーグル社員が語る

大場みのり (編集部)

2023-07-06 09:34

 グーグルは7月5日、教育関係者と報道関係者を対象に、教育機関向けサービス群「Google for Education」の機能や活用事例を紹介するグローバルイベント「Google for Education Leader Series Japan」を開催した。

Google for Education Government and Academic Engagement LeadのChris Harte氏
Google for Education Government and Academic Engagement LeadのChris Harte氏

 基調講演には、Google for Education Government and Academic Engagement Leadを務めるChris Harte(クリス・ハート)氏が登壇し、Googleが日本を含む24カ国を対象に実施した調査結果をまとめたレポート「Future of Education(未来の教育白書)」を基に、日本でも共感を得られそうな3つのトレンド「求められるスキルセットの変化」「学習/指導の個別化」「データによる教育者支援」を解説した。Harte氏は17年間、英国やオーストラリアで教員を務めていたという。

求められるスキルセットの変化

 Harte氏は「技術の進化に伴い、教育機関は児童・生徒により高いレベルのスキルを身に付けてもらうことを図っている。日本政府が提唱している『Society 5.0』では、経済成長と社会課題の解決を両立させることが鍵となる」と説明した。

 同氏は、Google for Educationの活用事例を紹介。英国・ゲーツヘッドの学校XP Schoolでは、学際的なプロジェクトを通して学習を再考しており、Harte氏が訪れた際は「移民と場所」について学んでいたという。生徒たちは「Google Docs」を活用して調べたことを共有し、「Google Sheets」で人口変動のデータを分析。地元コミュニティーに住む移民の人々へのインタビューも実施し、まとめたものを書籍として出版する計画について学習管理システム「Google Classroom」上で議論していた。書籍の売り上げは、地域の移民の人々に寄付することを予定している。

 この取り組みについて、Harte氏は「彼らが学んでいる内容は基本的なことだが、学ぶ方法については複雑かつ不明瞭な状況に身を置く大人のやり方と同じだった。彼らは共感や思いやりの気持ちを育むだろう」と所感を述べた。

学習/指導の個別化

 Harte氏は「テクノロジーへの優れたアクセスを提供することで、児童・生徒は自分のペースやニーズに基づいて学習を進められる」と力説。例えば、Google Classroomにおいて児童・生徒は自身で動画教材を操作できるため、理解度に応じてもう一度視聴したり、一部を飛ばして先へ進んだりすることが可能となる。教員は定期的にフィードバックを行うことができ、児童・生徒のモチベーション向上が期待される。

 熊本県高森町の小学校では「Google Slides」を活用し、グループで協力しながら、「日本の課題」と「誇れるところ」について1枚ずつスライドを作成する家庭学習を実施した。コメント機能を用いて意見を交換することも可能だ。

「日本の課題」をまとめる児童
「日本の課題」をまとめる児童

 Harte氏は、動画を流してその様子を説明。ある女子児童のグループでは、日本の課題を「差別」「新型コロナウイルス」、誇れるところを「アニメーション」とし、スライドを作成した。同児童は「皆で1つのスライドを完成させることで達成感があり、考えも共有できる。ためになり、楽しい」とコメントしていた。

データによる教育者支援

 Harte氏は「児童・生徒や教員がテクノロジーを活用するにつれて、より多くのデータを収集できる。こうしたデータは、各児童・生徒の注力すべき領域や教員のサポートすべきことを把握するのに役立つ」と期待を見せた。一方、課題として「膨大なデータ量」があるという。

 この課題に対し、複数の学校・自治体はWorkspace for Educationの進化版「Google Workspace for Education Plus」を活用し、ダッシュボードの構築やデータの分析を行っている。これにより、教員は児童・生徒の学習成果を網羅的に把握でき、授業や学習体験を最適化することが期待される。

 高知県では、小学校~高校の学習データを記録しており、児童・生徒一人一人の能力を最大限引き出すことを図っている。動画に登場した教員らは「児童・生徒も自分のデータを見返して前進を実感することで、自信につながるのではないか」「データが蓄積されるにつれて、一人一人に合った指導を考えられると期待している」などと述べていた。

 最後にHarte氏は「新しいテクノロジーは、あらゆる可能性を解き放つだろう。われわれのゴールは、変化の激しい社会においてあらゆる学習者の活躍を手助けすることだ。われわれは未来に向けて加速しており、サポートできることに胸を弾ませている」と自信を見せた。

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