NTT西日本と通信ネットワーク環境の構築などを行うNTTフィールドテクノは、女性社員が安心かつ快適に働ける環境の構築に向けて、オフィスへの生理用品設置を推進している。NTT西日本が8月3日に発表した。
NTTフィールドテクノは2023年5月から約1か月間、九州支店に生理用品を設置し、その効果を検証。設置後に実施した社内アンケートの声を踏まえ、正式な設置に向けた検討を進めている。
NTT西日本は通信・ICTサービスソリューション事業を展開しており、その主業務である設備の構築・維持・故障修理の工事などをNTTフィールドテクノが担っている。同社には現在1000人以上の女性社員が在籍しており、社内プロジェクト「SHINING活動」では通信設備工事といった現場においても女性の進出を後押しすることに取り組んでいる。2023年度は、社内公募した女性社員24人で運営している。
この活動の一環として、女性特有の悩み解消に向けた環境改善に取り組んでおり、生理時の不安解消や働きやすさ向上のための方策を検討した。今回、生理用ナプキンを福利厚生の一つとして職場のトイレに備品化する花王の取り組み「職場のロリエ」を活用し、九州支店に生理用品を設置した。
生理用品の設置後に行った社内アンケートには、女性社員97人、男性社員48人、その他1人の計146人が回答。生理用品の設置について全体の98%が「とても良い取り組み」「おおむね良い取り組み」と回答した。また、女性社員に「生理用品の常設は必要だと思うか」と質問したところ、約9割が「必要」と答え、約8割が「生理用品の常設によって不安が軽減され、より仕事に取り組めそう」とした。
アンケートの結果を踏まえてNTT西日本グループは、オフィスへ生理用品の正式な設置を検討している。社内アンケートに寄せられた、生理用品の種類や置き場所などについても議論を重ね、改善を図るとしている。
NTTフィールドテクノのSHINING活動では、環境改善の一環としてマネジメント層の男性社員を対象とした生理痛の疑似体験を2023年3月に実施した。生理は周期的に訪れ、個人によって症状や度合いは異なるものの、身体と精神に影響を与える。しかし、生理に関連する事柄は共有される機会が少なく、理解されにくいという問題がある。特に男性社員が多い現場では、この問題が顕著になると同社は認識している。
SHINING活動で行った社内アンケートでは、生理休暇の取得者は7%にとどまり、83%の女性社員が生理休暇を取得しづらいと回答。そこで、男性社員の生理への理解を深めてもらい、生理休暇を取得しやすい職場環境づくりを推進するため、マネジメント層の男性社員を対象に生理痛の疑似体験を実施した。この取り組みでは、奈良女子大学と甲南大学の研究チームが共同開発した装置を活用し、腹部に装着した電極パッドに電流を流すことで月経時の痛みを再現した。
生理痛を再現する装置(左)と男性社員が生理痛を疑似体験をする様子(右)