米セキュリティ企業のImpervaは9月11日、都内で事業説明会を開催した。最高経営責任者(CEO)のPam Murphy氏ら幹部がフランスのThalesによる買収や日本市場への取り組みなどについて説明した。
Imperva 最高経営責任者(CEO)のPam Murphy氏
Thalesは、7月25日に投資ファンドのThoma BravoからImpervaを約36億ドルで買収することを発表した。これについてMurphy氏は、買収が2023年12月末までに完了する予定だとし、「Thalesの持つデータ暗号化や鍵管理のソリューションとわれわれの持つアプリケーションおよびデータセキュリティのソリューションは補完関係にあり、企業のデータがいかなる場所にあろうともその検知から保護までを一気通貫で提供できるようになる」と述べた。
さらに、「現在では企業が運用するセキュリティソリューションは数十から百種類近くもある。ThalesとImpervaの統合によりセキュリティのポートフォリオも統合される。顧客のセキュリティ対策におけるコストや時間が節減され、パートナーを含め、彼らに大きなメリットを提供できると期待している」と話した。
ThalesとImpervaのセキュリティソリューションポートフォリオ
また、アジア太平洋・日本地域担当バイスプレジデントのGerge Lee氏は、同地域での投資を拡大していると説明。従業員数が2021年の85人から2023年は245人にまで増加しており、2023年は同地域におけるクラウドへのネットワーク接続拠点(PoP)を、日本(東京と大阪)を含め14カ所に拡大したとする。また、この間に日本と韓国、中国で各国語によるサポートを強化。さらに、顧客先のセキュリティ対策整備を支援するソリューションアーキテクチャーの専門家も日本には2人が在籍し、シンガポールの拠点と連携して、日本の顧客に対応しているなどと述べた。
日本およびアジア太平洋地域での投資内容
Imperva Japan 代表執行役社長の柿澤光郎氏は、日本でのビジネスで拡大を続けてきたウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)に加え、今後はデータセキュリティソリューション「Imperva Data Security Fabric」の展開にも注力するとした。
同氏によれば、API保護などのアプリケーションセキュリティとデータセキュリティの販売比率は、グローバルでは半々とのことだが、日本ではアプリケーションセキュリティが約9割を占める。データセキュリティについては、日本の大手組織でデータ漏えい事故が相次いだ2010年代前半に対策ソリューションで多くの採用実績があったとし、「APIもインターネットトラフィックの約8割を占めるまでになり、Impervaはアプリケーションとデータの双方を保護している」と強調した。
同社は、事業説明会と併せて新しいパートナープログラム「Imperva Accelerate Partner Program」を開始することを発表した。柿澤氏は、「これまで以上にチャネルパートナーとのビジネスを強化し、パートナーにとってきちんと収益となる仕組みを作っていく。また収益面のみならずトレーニングなどの支援もしっかり行い、パートナーと成長していきたい」と述べた。
新たに開始したパートナープログラム