日立製作所は10月27日、2023年度上期(2023年4月~9月)連結業績を発表した。減収増益となったが、2023年10月に持分法適用会社化が完了する日立Astemoを除いた「デジタルシステム&サービス」「グリーンエナジー&モビリティ」「コネクティブインダストリーズ」の3セクターによる「今後の連結事業」では、売上収益が前年同期比12%増の3兆9248億円、Adjusted EBITAが492億円増の3596億円となり、実質的には増収増益だったことを示して見せた。
これに合せて2023年度通期の業績見通しを上方修正した。「今後の連結事業」では、売上収益が前回公表値から1800億円増の8兆円、Adjusted EBITが180億円増の8180億円とし、増収増益の計画を打ち出した。全体の通期見通しの数字だけを見ると、依然として減収減益の計画であることに変わりはないが、日立製作所が重視している「今後の連結事業」という観点では、内容に力強さを感じるものに変わっている。
2023年度上期は、同社が推進している「2024中期経営計画」のちょうど折り返し点に当たる。執行役副社長兼CFO(最高財務責任者)の河村芳彦氏は、「(中期経営計画)最終の2024年度の数値は、もともとチャレンジングな目標で、達成できるかどうかという話もあった。だが、今のところほぼ全ての計画値をクリアできることが視野に入ってきている。一部にはKPI(重要業績指標)の観点から、まだ手を入れてはいけないものもあるが、下方修正することは考えていない」と計画達成に強い手応えを示した。
日立製作所 執行役副社長兼CFOの河村芳彦氏
この河村氏のコメントからも、2023年度上期業績は同社にとって自信のある内容だったことがうかがえる。特に今回の決算で強調したのが、「Lumada」事業の好調ぶりだ。それを示すように、ここでも2023年度見通しを上方修正した。
2023年度のLumada事業の売上収益見通しは、2023年7月公表時点で前年比16%増の2兆2800億円としていたものを、今回の発表では300億円増加して、前年比18%増の2兆3100億円に修正した。同社全体の売上収益のうち29%を占めることになる。また、Adjusted EBITAも、8000億円の計画から180億円増加して、前年比13%増の8180億円に修正。全体の41%を占めることになる。売上で3割、利益で4割という水準は、まさにLumada事業が日立の成長を支える柱に育っていることを裏づけるものだといえる。
中でもLumada事業の売上収益300億円の上方修正のうち、200億円がグリーンエナジー&モビリティとなっている点に注目しておきたい。