日立製作所(日立)は、日本オラクルと共同で実施した基幹業務向けマルチクラウド構成の検証結果を基に、クラウド環境への移行支援を強化する。
近年、基幹システムにおいても、マルチクラウドの採用を検討する企業が増えている。マルチクラウドは、さまざまなメリットがある反面、物理的に距離のある異なるクラウドのサービスを1つのシステムとして活用する際、性能や信頼性の確保が課題となっている。日立では顧客の基幹システムをクラウド移行させる支援策として、各種データベースを安定稼働させるための評価を行ってきた。
今回、「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)と「Microsoft Azure」(Azure)のマルチクラウド構成で、基幹業務を想定した処理性能や可用性の観点で検証を実施した。想定業務は受発注処理を行う在庫管理(ベンチマークツール)とし、オンライン受発注取引システムと同様のトランザクションを1秒間に1000回以上ランダムに発生させるなどの処理を実行した。その上でOCI単体の環境と、OCIとAzureのマルチクラウド環境において、性能と可用性を比較した。
検証の結果、大量トランザクション処理において充分な処理性能を得られることと、バッチ処理のデータ量に応じた適切なチューニング方法などが確認できた。また、必要な可用性のレベルに応じたマルチクラウド環境の組み合わせ条件などを明確化したという。
日立はこの知見を、業務基盤のモダナイズとデジタル活用による業務革新で課題解決に導く「クラウド&DXオファリング」に反映させる。
両社は今回の共同検証の内容を検証レポートとして、基幹システムにてマルチクラウド構成の採用を検討している企業のIT部門向けに、12月末までに「Qiita」で公開する。OCI上で提供されているフルマネージドのデータベースサービスをAzure上でも利用可能にした「Oracle Database@Azure」についても今後検証するとしている。