Sansanは、請求書関連業務に携わる1000人のビジネスパーソン(経理部門が700人、非経理部門が300人)を対象に「インボイス制度対応の実態調査」を実施、結果を発表した。
これによると、制度開始後3カ月が経過したにもかかわらず、いまだ3分の1以上の担当者が制度対応に課題を抱えていることが判明した。
2024年1月時点でのインボイス制度への対応状況
この調査はオンライン上でのアンケート調査で行われた。調査期間は1月17〜18日。請求書を取り扱う業務とは、請求書の受け取り、振り分け、内容確認、支払い申請、支払い承認、経理部門への請求書提出、請求書の仕訳入力、支払いの実施、請求書の保管などを指す。
制度対応で作業時間が増えた項目
その他の結果では、対応に課題を抱える企業では、制度開始後、経理は1人あたり月8.5時間、非経理は1人あたり月9.0時間の業務増になっていることが判明した。また、制度対応で作業時間が増えた項目を経理担当者に聞いたところ、第1位は「適格請求書の要件を満たすかどうかの確認」(64.8%)、第2位は「不備があった場合の修正対応」(63.4%)となった。
順調に対応できている企業が取り組んできたこと
一方インボイス制度に問題なく対応できていると回答した人に、円滑に対応するために取り組んだことを聞いた。その結果、最も多かったのは「従業員へのインボイス制度に関する説明・周知」(36,3%)、続いて、外部サービスの導入などによる「経理業務のデジタル化」(35.3%)となった。
この質問に対しては企業規模によって「最多となる回答」が異なる。従業員数1001人以上の企業は「経理業務のデジタル化」、従業員数101人〜1000人の企業は「従業員への説明・周知」、従業員数100人以下は「顧問税理士など外部からのアドバイスをもらう」が最多となった。
これについてSansanは、従業員が多い企業ではシステムを導入するなどして業務のデジタル化を図っている一方、従業員100人以下の企業では経理業務を顧問税理士に委託しているケースも多いことが読み取れるとしている。
経理業務をデジタル化して最もメリットを感じたこと
さらにインボイス制度を機に経理業務をデジタル化した企業に、デジタル化して最もメリットを感じたことは何かを聞いた。その結果、同率1位で「請求書の検索や管理がしやすくなり生産性が向上した」と「紙の用紙代や印刷代などのコストが減った」(ともに14.1%)という結果となった。
またメリットを感じた具体的なエピソードとしては、「受け取った請求書を保存するための製本作業が減った(IT・情報通信)」や「紙が減ったことにより打ち合わせスペースが広くなった(卸・商社)」などが挙げられている。そのほか、「請求書を紛失する心配がない(旅行・宿泊)」や、「郵送で届いていた書類がメールで早く届くので、請求処理の締切日まで余裕ができるようになった(建設・不動産)」といったコメントも寄せられている。