大手飲料メーカーの伊藤園は、持続的な成長のための変化対応力を高めるため、基幹システムの会計・間接購買の領域を「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning」(Oracle Cloud ERP)で刷新した。最新のクラウド技術を活用して、約3000人の営業社員の経費精算プロセスを自動化・省人化する。その他の領域についても段階的にクラウドへの移行を検討している。日本オラクルが4月17日に発表した。
同社グループは、2023年4月期から開始した中長期経営計画で経営基盤の強化や「100年企業」に向けた持続的な成長、持続可能な農業モデルとなる茶産地育成事業などを通じてサステナビリティー経営を推進している。
15年前に導入した「Oracle E-Business Suite」は、改修、改善を重ねながら利用を継続していたが、デジタル化の加速や販売チャネルの多様化、直接取引の増加などでビジネス環境が大きく変化。この変化に対応するため、複数の選択肢を検討し、最終的にクラウドネイティブSaaSへの移行を決断した。
Oracle Cloud ERPへの移行の背景には、標準プロセスで包括的な業務領域をカバーできる機能や、国内外へのグループ展開を見据えたハードウェアの必要がないSaaSとしての展開、AIなどの最新テクノロジーが搭載されている点がある。スマートフォンを用いた経費精算や購買入力・申請・承認プロセスが可能である点も評価された。
また、Oracle E-Business Suiteの導入時には、業務部門からヒアリングした要件を取り入れて設計したが、実際には使用されなかった機能もあった。そのため、今回は新たな業務要件をシステムに追加するのではなく、Oracle Cloud ERPで提供される機能を活用する方針を採用した。