2024年12月で創業40周年を迎えた米Cisco Systems(以下、Cisco)の代名詞が、ネットワークと共にセキュリティのソリューションベンダーへと変わりつつある。このCiscoの事業変容は、時代の変化を映しているといえそうだ。
Splunkの買収を機にセキュリティ事業拡大へ

シスコシステムズ 代表執行役員社長の濱田義之氏
「40年前に米国スタンフォード大学の学生二人が創業し、インターネットの発展と共に成長してきたCiscoは、インターネットの発展と共に成長を遂げ、今ではネットワークだけでなく、セキュリティ、コラボレーション、オブザーバビリティなどと事業を広げ、企業、さらには社会の変革をご支援している。そして40年を経て、当社は新たなチャレンジを始めた」
Ciscoの日本法人シスコシステムズ 代表執行役員社長の濱田義之氏は、同社が先頃開いた事業戦略説明会でこう切り出した。
会見の内容は関連記事をご覧いただくとして、筆者がこの会見で印象深かったのは、Ciscoが2024年3月に280億ドル(約4兆円)で買収した米Splunkの日本法人Splunk Services Japan 社長執行役員の野村健氏が、全体でおよそ50分だったプレゼンテーションのうち20分ほど同社のサービスの説明を行っていたことだ。CiscoにとってSplunkの買収はそれほど大きなインパクトのあるアクションだったわけだ。
Splunkはオブザーバビリティを合わせたセキュリティソリューションを提供するベンダーだ。つまり、これまで事業を広げてきたとはいえ、基本的にネットワークが中心だったのを、Splunkの買収を機にセキュリティを事業の大きな柱にしていこうというCiscoの姿勢の表れといえよう。冒頭に紹介した濱田氏の発言で「新たなチャレンジを始めた」とあるのは、この姿勢を指すものと筆者は受け取った。
Ciscoの代名詞は、これまで「世界最大のネットワーク機器ベンダー」と呼ばれていたのが印象強かったが、最近では自らのニュースリリースで「セキュリティおよびネットワーキング分野のリーダー」と名乗っている。筆者はこの代名詞にCiscoの変化を感じていたが、今回の会見でそれを確信した。
そこで、会見の質疑応答で濱田氏に、「コラボレーションを合わせたネットワークと、オブザーバビリティを合わせたセキュリティという形でCiscoの事業を大別すると、現在の事業規模の比率はどうなっているのか。おそらくまだネットワークが大半だと推察するが、3年後あるいは5年後にはその比率がどうなっていると見ているか。もしくは、こんな比率にしたいとの思いがあれば聞かせていただきたい」と問いかけてみた。すると、同氏は次のように答えた。