総合商社の兼松は、グループ全体の新たな基幹システムとして、日本オラクルが提供するSaaS型ERP「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning(ERP)」(Oracle Cloud ERP)を採用したと発表した。2027年より、兼松グループ33社へ順次導入を進める計画だという。
同社は、グループ一体経営の強化とデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を重点戦略としている。今回の新基幹システム導入は、これらの戦略を実現するための重要な施策と位置付けられている。最先端テクノロジーとAI機能を備えるOracle Cloud ERPに刷新することで、経営判断のスピードアップや経営資源の最適配分を可能にするデータドリブン経営の基盤を構築し、グループ全体のDXを加速する。
導入に当たっては、可能な限り標準機能を利用する「Fit to Standard」アプローチを採用し、まずは決済や会計といったコーポレート業務関連の機能から導入を進める。SaaSであるOracle Cloud ERPの活用により、法改正などに伴うシステム改修の負荷を低減できる。また、四半期ごとに提供される機能アップデートを通じて、AIなどの最新テクノロジーを活用した業務の自動化・効率化が期待される。
、兼松はシステム全体を、基幹業務のデータ管理を担う「SoR(System of Records)」、Oracle Cloud ERPを中心とするDX推進領域「SoE(Systems of Engagement)」、データ分析・活用基盤「SoI(System of Insight)」という3つの役割に機能分類する。これにより、効率的な開発体制の構築とシステム全体の連携最適化を図るとしている。
なお、兼松はこのシステム刷新とグループDX推進を戦略的に担う新会社として、「兼松シードポート」を4月16日に設立した。
兼松は、Oracle Cloud ERPの導入と戦略的IT会社である兼松シードポートの設立を両輪として推進することで、グループ全体の競争優位性を確立し、組織横断的なイノベーション創出を促進していく考えだ。