Googleは米国時間5月1日、「AI Mode」をアップデートした。これにより、夏休みの計画や買い物、あるいはさまざまなトピックに関する学習が、より一層行いやすくなった。さらに、このツールを試してみたいユーザーにとって、アクセスも容易になった。
Googleの新しいAI Modeは、従来の検索機能が持つリアルタイムの情報アクセスと、生成AIの強みである自然で長い質問への対応やパーソナライズされた回答生成とを組み合わせている。これにより、AI検索エンジンのような体験を可能にしている。特に、買い物や旅行の計画といった、多くの条件が絡むような複雑な質問に対して有効である。
検索製品管理担当ディレクターのSoufi Esmaeilzadeh氏は米ZDNETに対し、「われわれは、ショッピングや地元のビジネス検索、旅行計画といった機能の利便性を高めようとしている」と語った。続けて、「AI Modeを導入し、ショッピンググラフの豊富なコンテンツや、ローカルデータベースにある何百万ものビジネス情報と結びつけることで、これらの機能をさらに向上させている」と述べた。
これまでもAI Modeでは、さまざまなトピックについて調べられたが、今回のアップデートにより、商品や場所の情報が視覚的なカードで表示されるようになった。このカードをクリックするだけで、より詳しい情報を確認できる。
AIエージェントの登場によって、AIアシスタントが旅行を予約することも可能になりつつあるが、AI Modeはあくまでリサーチパートナーとして機能する。旅行や買い物をスムーズに進めるために必要な情報を集める手助けをするのが、その主な役割になる。
例えば、レストランなどの場所を検索した場合、評価、レビュー、営業時間といった情報が表示される。一方、商品を検索した際には、リアルタイムの価格や画像、地域での在庫状況などを含む、配送可能なオプションが表示される。これらの情報は全てウェブからリアルタイムに取得されるため、常に最新の詳細が反映される。
Esmaeilzadeh氏は次のように説明する。「例えば、『ミッドセンチュリーモダンな家具店で、こういう特徴を持つドレッサーが欲しい』といった具体的な質問をすると、AIモデルはその意図をくみ取って応答する。そして、最適な店舗を見つけ出し、われわれが長年かけて構築してきた豊富なビジネス情報へ、すぐにアクセスできるようにしてくれる」
AI Modeでは過去の検索履歴にもアクセスできるようになった。画面左側に新たに表示されるパネルには、過去の検索内容がリストアップされる。ユーザーは後からこれらの検索結果を参照したり、追加の質問を投げかけて会話を再開したりできる。
同機能について、Esmaeilzadeh氏は次のように述べている。「AI Modeのユーザーは、フォローアップ質問をすることに非常に関心が高く、長期的な調査や研究の過程で利用している。そのため、ユーザーが自身の作業を振り返り、中断した箇所からスムーズに再開できるようにしたいと考えた」
これは基本的な機能のように思えるかもしれないが、もしGoogle検索の履歴にアクセスできなかったらどうだろうか。それと同様に、過去のAI Modeでの会話履歴にアクセスできることは、生産性を大きく向上させる、非常に便利なツールとなるだろう。
これまでAI Modeにアクセスするには、「Google Labs」で順番待ちリストに登録する必要があったが、今後はその必要がなくなる。AI Modeを試してみたい米国のユーザーは、Google Labsですぐにアクセスできるようになった。
Googleによれば、AI Modeに関するユーザーからのフィードバックは肯定的で、役立つとの声が多く寄せられているとのことだ。この結果を受け、同社はGoogle Labsの枠を超え、限定的なテストを通じてアクセス対象を拡大している。具体的には、米国内の一部のGoogle検索ユーザーに対して、検索ページ上にAI Modeタブが表示されるようになる。Googleは今後も、ユーザーからのフィードバックを継続的に活用し、モデルの改善を進めていく方針である。
Googleは、検索結果ページの上部にAIが生成した要約を表示する機能「AI Overviews」を導入した際にも、同様の段階的な展開アプローチを採用した。AI Overviewsも、最終的にはGoogle Labsでのテスト段階を経て、通常の検索結果の一部として提供されるようになった。
AI Modeは、AI Overviewsと似ていると感じるかもしれないが、その類似性は意図的なものである。AI Modeは、AI Overviewsの体験をさらに拡張したものと位置付けられている。具体的には、AIによる応答に対してユーザーがフォローアップの質問をしたり、従来のキーワード検索にとらわれない、より自然な言葉での検索を可能にしたりする点が進化した部分である。
もう一つの大きな違いとして、AI OverviewsではAIによる応答が関連性の高い場合にのみ表示されるのに対し、AI Modeではユーザーが能動的に利用することで、常にAIが生成した応答を得られる点が挙げられる。
Esmaeilzadeh氏も、「パワーユーザーからは、『(AI Overviewsは)便利で楽しんでいるけれど、もっと自分のタイミングで確実に使いたい』という声が寄せられていた」と語っている。
技術的には、対話型AIである「Gemini」でも同様のアプローチは可能だが、Googleはこの2つを明確に区別している。Geminiは、ユーザーと共に創造的な作業を行うアシスタントとしての役割を意図しているのに対し、AI Modeはあくまで情報探索のためのプラットフォームとしての機能が第1に考えられている。
Esmaeilzadeh氏は、「Geminiは、文章作成、画像生成、コーディングといった、生産性や創造性に関わる多様なタスクに焦点を当てたパーソナルアシスタントとして位置付けている。一方、AI Modeでは、情報へのアクセスをより容易にするという、検索本来の目的に重きを置いている」と付け加えている。

提供:Elyse Betters Picaro / ZDNET
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。