IT部門がビジネスをドライブする時代へ 伴走の経験者が明かす「正しい内製化の取り組み方」

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2022-08-26 11:00

[PR]新時代のビジネス戦略において、デジタルの活用は不可欠な要素となっている。その中でIT部門は、ITシステムの運用管理やベンダーコントロールという従来型業務の遂行にとどまらず、ビジネスをドライブするためのエンジンとしての新たな役割を担っていくことが求められている。

 本記事では、ビジネスをドライブするIT部門に求められること、そして、その際に重要なキーワードとなる「内製化」を実現するための組織と意識変革の必要性、外部の協力企業との関係のありかたについて、企業のDX・内製化支援サービスを提供し、三井不動産、コーセーなど有名企業の内製化プロジェクトを支援してきたゆめみの取締役が解説する。

内向きのDXだけでは不十分

――企業に変革を求められる中で、IT部門の役割が高まっています。ゆめみとしては、これからの企業におけるIT部門の役割をどう考えますか。

海保氏従来のIT部門の役割は、社内情報システムや端末の管理が担当業務の主なイメージかと思います。しかし、「VUCA」(Volatility〈変動性〉、Uncertainty〈不確実性〉、Complexity〈複雑性〉、Ambiguity〈曖昧性〉、ブーカ)と呼ばれる現代は、顧客ニーズの多様化や「モノ」から「コト」へのサービスの変化など、ITそのものが企業にとってコアコンピタンスのサービスとなる必要性が生まれたため、その創出と運用がIT部門の主な役割になると考えます。実際当社に対しても、従来のソフトウェア開発委託だけではなく、新しいサービス創出の手伝いをして欲しいとお声がけいただくケースが増えました。こうしたサービスのロードマップを描くところを含めて、事業部門だけでなくIT部門も取り組んでいかなければならない状況になっていると考えられます。

PM担当取締役 海保研(かいほ・けん)氏
伴走・開発案件の新規立ち上げを中心に活躍。PMテックリードとしてPMグループへの後方支援やグループ全体への貢献の役割を担う。内製化支援などのプロジェクト立ち上げなどの知見を多く持つ。
PM担当取締役 海保研(かいほ・けん)氏
伴走・開発案件の新規立ち上げを中心に活躍。PMテックリードとしてPMグループへの後方支援やグループ全体への貢献の役割を担う。内製化支援などのプロジェクト立ち上げなどの知見を多く持つ。

渡部氏総務省が発表しているデータを見ると、日本ではコロナ禍以降、ネットショッピングや電子決済などのデジタルサービスを使うユーザーが急増している状況です。一方で国内企業のデジタル投資は、新事業の創出・ビジネスモデルの変革を目的としたものは割合が少なく、業務効率化やコスト削減が中心になっています。つまり、デジタルサービスに対するニーズは高まっているものの、企業では業務のためのIT化やDXに注力してしまい、ビジネスにはつなげられていないと言えます。そのような側面からも、企業のIT部門は変化していく必要があると考えます。

――IT部門では従来の運用業務をこなしつつ、DXで新しいサービスや価値を作っていくという視点が求められることになりますが、その際IT部門にはどのような視点が求められるのでしょうか。

海保氏IT部門が中心となってサービスを創出するに当たって、部門内で新たな役割を作ることになりますが、その際には従来のようなトップダウン型ではなく、権限を移譲された各メンバーが自律的に動き柔軟にスピード感を持って対応するボトムアップ型の組織であることが必要な条件になります。

渡部氏サービスがデジタル化すると、顧客接点もデジタルになります。その際には、ユーザーの利用環境や求められる体験がどんどん変わっていく中で、提供側はその変化に適応しながら価値を生み出していくことが求められます。そのための俊敏さをどれだけ持てるかが重要になるのです。

小さく始め、始めからゴールを求めないことが重要

――そのように意識を転換した上で、実際に行動につなげるためにはどうすればいいでしょうか。

海保氏スクラムやアジャイル、リーダーシップ論など、行動に繋げるためのアプローチや方法論自体はたくさんあります。ただいずれにせよ、まずは4~5人程度の小さいチームから始めて、それを徐々に広げていく形をお勧めします。小さいモデルでもいいので、成功したモデルケースを作ることが第一歩となるでしょう。

 我々はサービスの立ち上げをお手伝いすることが多いのですが、最初からたくさんの機能を取りそろえ、1年程度かけてスタートすることを想定されているお客さまが多い印象です。しかしそうではなく、必要最小限の機能でまずはサービスをリリースし、ユーザーのフィードバックを得ながら改善していくというリーンスタートアップの手法を取り入れて、「まずは小さく始めましょう」と提案しています。

渡部氏重要なのは、“ゴールを求めない”というマインドを持つことです。従来の開発のように、発注したソフトウェアが納品され、そこから事業が始まるという進め方ではなく、継続的に変化していくことを目指す姿勢が大切になります。

――短期間のスモールスタートで始めようとなると、多くのIT部門の現場では抵抗感があるかもしれません。部門内での意識改革のほかに、考えなければならないことはありますか。

海保氏直近の成果が見えづらいため、IT部門の担当者は納得しても、周りや経営層から「それで何ができるの?」と思われてしまいがちです。そこで、決まった期間内に予算を投入して成果を上げるだけではなく、あらかじめ定められたロードマップを柔軟に変えて、変化に対応していきつつ、中長期的に目的を達成していくということを、社内全体で理解していただく必要があります。

コアコンピタンスのドライブ、意思決定は自社で

――今までのお話にもあったような自社サービスのDXを実現するということも含めて、昨今ではITの「内製化」がキーワードになっています。実際にゆめみでは、これまで企業の内製化支援を手掛けられてきましたが、なぜ企業は内製化に舵を切るべきなのでしょうか。

海保氏まずは、企業が提供するサービスがデジタル化した時に、デジタルサービスを作って運用するプロセスを他の企業に任せていいのかという問題が生じます。デジタルサービスが企業にとってのコアコンピタンスになっていく以上、それを外部調達するとなると、ベンダーロックインの問題や意思決定などのスピード感の低下をはじめとした、さまざまなリスクを抱えることになります。

 また、自社によるデジタルサービス開発は、独自性が高く、外部に委託すると、カスタマイズの費用が掛かってしまいがちです。それであれば、自社で長く持てるように内製する方が最終的にコスト的なメリットも得られます。

渡部氏開発スタイルの問題もあります。従来型のシステム開発では、最初に仕様を固めて開発作業を外部に委託し、ウォーターフォール型で大きく作るという形でした。それに対しデジタルサービスを提供する際は、まず小さくリリースして市場でデータを収集し、それを受けて形を変えながらユーザーに受け入れられるものを探っていかなければなりません。

 そのような継続的な変化が必要になる中で、ベンダーに開発を丸投げして中身をブラックボックス化してしまうと、自分たちで意思決定するのが難しくなり、スピード感が失われます。そのため企業がデジタルサービスやプロダクトを開発していくに当たっては、内製化が必要なプロセスになるわけです。

技術担当取締役 渡部陽太(わたなべ・ようた)氏
モバイルを専門領域とするエンジニアとして、複数の内製化プロジェクトを支援。CTO室を立ち上げ、他社CTOとのネットワーキングを図りつつ内製化支援サービスのリード獲得、技術ブランディングを推進
技術担当取締役 渡部陽太(わたなべ・ようた)氏
モバイルを専門領域とするエンジニアとして、複数の内製化プロジェクトを支援。CTO室を立ち上げ、他社CTOとのネットワーキングを図りつつ内製化支援サービスのリード獲得、技術ブランディングを推進

――とはいうものの、従来のIT部門には内製化を実践するノウハウがありません。実際にどう進めていけばよいのでしょうか。

海保氏まずは、オーナーシップを持つことです。これまで開発をベンダーに任せるという認識だったと思いますが、自社でプロダクトオーナーを決め、そのプロダクトまたはサービスに対して、ユーザーからフィードバックを受けながら中長期的にどう発展させていくかを、IT部門の担当者自身が描いて推進していくことが一歩目になります。

 その上で、開発の過程においてはユーザーにインタビューし、それを受けてデザインを作り、開発・運用をするという工程があります。最初は、その部分は今まで同様にわれわれのような外部のベンダーに任せて構いません。経験を積み、自社の組織を拡充させていく過程で、徐々にそれらを巻き取っていけば良いでしょう。

内製化への各局面でパズルを埋めるように伴走

――当初はベンダーの支援が欠かせないということになりますが、具体的にゆめみではどのような形で内製化支援をしてきましたか。また、その際に注意点などはありますか。

海保氏まずはサービスのデザインも含めてプロダクトオーナーという立場にお客さまに立っていただき、その上でわれわれもメンバーが参加して、開発も含め支援をするという形になります。その中でお客さまの中で小さいモデルケースを作り、そこから他のチームにレビューを行ったり、当社のアジャイルコーチが中に入る形でお客さまの他のメンバーにアドバイスしていく形で方法論を社内に広げていきます。内製化した領域は、作るだけでなくプロダクトの継続的改善や運用も含めて従来のIT部門の役割とマージしていくようになりますが、そこのフェーズまで支援しています。その時に解決が必要な課題に応じて、パズルを埋めるように伴走できるのが、ゆめみの強みです。

渡部氏「オープンな関係であること」が内製化をうまく進めていく上で大切なポイントと考えています。お客さまとの関係において、ある程度は担当領域の線引きは必要ですが、責任分界点のような壁になってしまうとうまく進まなくなります。私は設計や技術選定についてご相談を受けることが多いですが、実際はもっと違うところにお客様の悩み・苦しみの技術的要因があることが多いです。そういった悩みの奥にある核心はなにかを、常にセンシングするように意識していますし、それを紐解くためにも「オープンな関係」は不可欠です。

――これまで支援をしてきた中で、企業のマインドが変わってきたという実感はありますか?

渡部氏トップダウン的でなくボトムアップ的に自分たちの技術で自社のサービスをドライブさせていこう、付加価値を付けていこうというマインドのエンジニアが増えてきている印象です。また大企業では、デジタルと経営層との距離が近くなってきていると感じます。最近は社長直轄という形で当社に話が来て、会社全体で本気で取り組む意向があると感じられるケースが増えていますね。

「発注・委託」から「壁打ち・体験の共有」の関係へ

――最後に、内製化を進めるに当り、ゆめみが提供できる価値をお話しください。

海保氏われわれのサービスとは、単にお客さまに言われた通りにモノを作るのではなく、ゆめみと一緒に仕事をするという体験を提供することだと考えています。DXや内製化に向けた技術や方法論を提供するだけでなく、「アジャイル組織・ティール組織」という新しい考え方・組織運営の仕方をしている企業と一緒に仕事をするという体験をご提供することが、われわれのサービスの特徴であると思います。

渡部氏ゆめみでは技術的な部分に限らず、お客様のサービスを企画段階からサポートすることが出来ます。内製化を進めるに当たっては、全てを自分たちで完結させようとせずに、われわれのような伴走する支援業者のサポートを受け、柔軟に進めて頂ければと思います。

 CTOの立場である私の領域のお話をしますと、実際にコードを書いてお手伝いする以外にも、技術的な課題の壁打ちから伴走がスタートすることも多いです。経験豊富なエンジニアに話をするだけでも効果がありますし、ここを何とかしてくれというミッションだけでなくて、現在の困り事や感じていることなど、根っこにある部分をオープンにしていただいて、「じゃあ、その上で私たちに何ができるか」という形で支援をさせていただくと、内製化が成功しやすいと考えています。

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