クラウドコンピューティングは、費用削減の道具として、あるいはコンピューティング能力を柔軟に調達する手段として売り込まれることが多い。しかし最近では、クラウドが持つビジネスの変革を後押しする効果が前面に出ることが増えている。
Google Cloudの最高経営責任者(CEO)Diane Greene氏は、ロンドンで開催された同社主催のイベント「Google Cloud Next '18 London」で、「われわれはまだクラウド化の初期段階にあり、ワークロード全体の約10%がクラウドに移行されたにすぎないが、クラウドがデジタル変革の大きな推進力の1つであることは明らかだ」と語った。
Greene氏によれば、企業はクラウドへの切り替えと移行計画の立案を「一度立ち止まって、自社のミッションを見直す」ための機会として利用し、企業文化や業務プロセス、データ戦略について再検討しているという。
この発言は、簡単にクラウドに移行できるワークロードの多くがすでに移行されてしまい、クラウドの変革を後押しする機能を強調しなければならない段階に来ていることを意味しているのかもしれない。
Greene氏は、「クラウドはITを運用する優れた手段になっているだけでなく、企業に変化をもたらすためのほぼ完全な構造を提供するものだということが明らかになりつつある」と述べた。
クラウドコンピューティングには勢いがあり、2022年には企業のテクノロジ支出の28%をクラウドが占めるようになると予想されているが、コンピューティングに関するあらゆる問題を解決できるわけではない。特に費用の観点から見ると、長期的にはコンピューティング能力を借りる方が購入するよりも高くつく場合がある。クラウドコンピューティングは、以前からやっていることを安くできるだけでなく、新しいことを素早く実現するのに役立つという考え方を広めることで、クラウドプロバイダーはより多くの顧客企業に決断を促せるかもしれない。
例えば、企業のデータは特定のオフィスや部門の中に閉じ込められている傾向が強いが、クラウドに移行して人工知能(AI)や機械学習を活用することで、そういった組織の中にある壁の一部を取り去るのに役立つ場合もある。