第5回 EAがもたらす4つの効果

相原 慎哉(みずほ情報総研) 2005年04月28日 10時40分

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 EAを導入することで、具体的にはどのような効果があるのだろうか。代表的な効果を、

  1. コスト・パフォーマンスの向上
  2. 柔軟で変化に適応できるシステムの実現
  3. 経営ニーズのITへの反映強化
  4. 意思決定の質の向上

という4つの視点から整理してみたい。

1. コスト・パフォーマンスの向上

 IT投資の費用対効果(ROI)の向上は、現在大きな注目を集めているテーマである。限られた予算でいかにIT投資を行なって効果をあげていくかは、CIOにとって最も重要な課題である。EAはシステムへの要求を明確にすることで、調達のベンダー依存を改め、必要十分なシステムを正当な価格で導入することを容易にする。また、既存の社内システムの状況を明らかにすることで、既に存在する資源の有効利用と重複投資の排除を進める。全社プロセスを最適化する観点からは、一部の部門や業務のみのために部分最適化されたシステムが排除され、全社最適を考慮したシステムが導入されることになる。これはシステム単体の導入コストを高めるかもしれないが、全社的なコストを削減することにつながる。また、設計期間の短縮や保守工数の削減など、単体システムの開発や運用においても、EAによるコスト削減が可能である。米国では、CEOレベルで、EAがIT投資のROIを高める鍵であるとの認知が一般的なものとなっている。

2. 柔軟で変化に適応できるシステムの実現

 EAによって構築されたシステムやプロセスには明確な設計図があり、構成要素の相互関係も明確である。ビジネスの変化がITにどのような変化を求めるのか、ITの進歩がビジネスにどのような影響を持つのかの見通しがこれまで以上にはっきりする。さらには、部分的な変更を行なっても他の部分に与える影響が少ない「モジュール化」された構造が実現しやすくなる。経営環境の変化に応じて情報システムやビジネスを柔軟に変更していくことが容易になる。これによって、一度導入したシステムが陳腐化しにくくなり、変更や追加を加えても使いつづけることが容易になることから、システムの寿命が長期化する。これはコスト・パフォーマンスの向上にも大きく貢献することになろう。

3. 経営ニーズのITへの反映強化

 以上の2点も含めて、EAは経営ニーズをITに反映しやすくする。EAの整備によって、新たなシステムの導入までの時間を短縮できる、経営が目指しているあるべき姿への移行計画を明確にすることができる、などの効果も生まれる。情報が可視化されることで、システムの詳細やビジネスプロセスの詳細について担当者しかわからないという状況がなくなるのもメリットである。内容がわからないものを管理することは難しい。EAによって明確化されれば、それをコントロールすることが容易になる。

4. 意思決定の質の向上

 EAはCIOに豊富な判断材料を提供し、的確で迅速な意思決定を可能にする。CIOに限らず、IT投資を行なうか否か、システムの中にどのような機能を含めるべきか、投資のタイミングをどのように計るか、こうした様々な問題に対して決定を下さなければならない立場の人々にとっては、EAは非常に有益なリソースとなるはずである。また、IT部門、ユーザー部門、経営層の間などで情報の共有と理解が進み、関係者のコミュニケーションが円滑になることも、最終的な判断の適切さや迅速さに大きなプラスの影響をもたらすだろう。米国では、意思決定のためのツールとしてのEAが非常に重視されている。CIOが適切な意思決定を行い、アプリケーション統合を容易にするために、EAが重要というコンセンサスができあがっている。日本でもこうした利用目的でのEAが次第に増えてくることになるだろう。

(みずほ情報総研 EAソリューションセンター シニアシステムコンサルタント 相原 慎哉)

※本稿は、みずほ情報総研が2004年8月31日に発表したものです。

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