システム開発会社のNTTデータとUNIXサーバベンダーのサン・マイクロシステムズは5月30日、両社が共同で顧客にシンクライアントのシステム提案を実施することで合意した。NTTデータが画面情報端末ソフト「GO-Global」を用いたシンクライアント環境のシステム開発を、サンが画面情報端末ハードウェア「Sun Ray」の販売と導入支援を実施する。両社が相互にプリセールスの窓口になる。販売目標は今後3年間で100社5万台以上。
NTTデータが扱うGO-Globalは、米GraphOnが開発した画面情報端末ソフトである。ビットマップ情報ではなく、専用の描画API命令を端末に送る仕組みをとっている。画面端末サーバが画面描画クライアントに対して描画API命令を渡す。NTTデータによれば一般的なアプリケーションにおいてビットマップ転送よりもネットワーク帯域を必要としない。
GO-Globalの描画クライアントの実装は、ActiveXコントロール、Netscapeプラグイン、Javaアプリケーションに加え、WindowsやSolaris、MacOSなど各種OS用のネイティブ・アプリケーションがある。画面端末サーバは、Windowsアプリケーションを使うためのWindows版と、X-Window Systemのアプリケーションを使うための各種UNIX版がある。
GO-GlobalとSun Rayを組み合わせたシステム形態は、こうなる。(1)画面情報端末サーバには、GO-GlobalのWindows版とWindowsアプリケーションを導入する。(2)Sun Rayの画面情報サーバ側では、GO-Globalの画面描画クライアントを導入する。この場合はSolaris用のネイティブクライアントを導入する。(3)GO-Globalの画面描画クライアントが描画する画像を、Sun Rayの画面情報プロトコルを用いて、Sun Rayのシンクライアント端末に渡す。
GO-GlobalとSun Rayという2種類の異なる画面情報端末ソフトを組み合わせて2層の多段構成で使うことになる。画面情報端末の描画クライアントソフトを汎用PC上で動作させるのではなく、Sun Rayという専用のシンクライアント端末を使うことで、よりセキュリティが高まるというシナリオだ。UNIXアプリケーションの描画を想定したSun Ray上でWindowsアプリケーションを操作するという需要も満たす。
なお、GO-GlobalのUNIX版も、運用時には2層の多段構成を採る。Xサーバ(X端末ソフト)を画面情報端末サーバ側で動作させ、X端末ソフトが描画する画像をGO-Globalの画面描画APIで描画クライアントに渡す仕組みである。画面情報端末側にXサーバが必要なくなるメリットがある。加えて、画面描画APIのプロトコルはX11プロトコルよりも軽いという。