アイ・ティ・アール(ITR)は12月7日、日本企業を対象として2005年9月に実施した国内IT投資動向調査の結果を発表した。
今回の調査では、2006年度(2006年4月〜2007年3月)のIT予算の見通しについて、国内企業7500社に回答を求め、365社から有効回答を得た。その結果、2005年度予算と比べて「横ばい」と回答した企業が52.9%と過半数を占め、「20%以上の増加」は7.4%、「20%未満の増加」は27.9%となった。
「20%未満の減少」は10.1%、「20%以上の減少」は1.6%。予算の増加を見込んでいる企業35%を超えたのに対して、減少と見る企業は1割程度にとどまった。一方、2005年度の予算実績は、順に51.4%、11.4%、21.6%、12.2%、3.5%となっている。
IT予算の増減傾向を指数化した「投資指数」で見ると、2001年度「+3.6」、2002年度「+2.5」、2003年度は「+1.9」と年々下降していたが、2004年度は「+2.9」と大きく上向きに転じ、2005年度には再び「2.5」へと後退している。ITRでは、2006年度は小幅な回復により2004年度の水準の「+2.9」へ戻る見込みという。
今回の調査では、企業のIT予算額が売上高に占める比率も調査された(有効回答は354件)。こ2001年の調査開始以来2003年までの3年間は1.3%、1.5%、1.9%と上昇し、2004年に初めて2.1%と2%台に達した。2005年度は、この勢いがさらに加速し、前年比0.7ポイント増の2.8%となった。
企業の売上高別で見ると、IT予算比率の高さは売上規模と反比例する傾向にあり、5000億円以上の企業の平均は最低の1.3%、10億円未満の企業が最高の5.2%となっている。また、1000億〜5000億円未満の企業および500億円〜1000億円未満の企業では、2%をわずかに下回るにとどまっている。業種別では金融/保険業およびサービス業が平均値を上回っている。
また、IT予算に占める情報セキュリティ対策の費用の割合で回答を得たところ、その平均は9.0%となった(有効回答は333社)。一方、IT予算に占める災害対策費用の割合は、情報セキュリティ対策の半分未満の3.9%(有効回答は311件)。この項目でも、売上高規模とほぼ反比例する傾向が見られている。
そのほかに浮かび上がったこととしては、「情報・ナレッジの共有・再利用環境の整備」へのニーズが強い。また、最重点投資分野は本人認証基盤だった。
調査結果の詳細は、ITR Review2005年12月号(12月15日発行)で紹介される。調査結果および分析は、ITRから「国内IT投資動向調査報告書2006」として2005年12月下旬より販売開始される。価格は税・送料込みで5万2500円。