「データウェアハウス(DWH)アプライアンス」という日本ではまだなじみのない製品を手掛ける日本ネティーザ。同社は米Netezzaの日本法人だ。日本ネティーザが販売するDWHアプライアンス「Netezza Performance Server」(NPS)とはどんな製品なのか、また日本ネティーザの日本市場での戦略などを、日本ネティーザの代表取締役であるDouglas Etzel氏に話を聞いた。
--DWHアプライアンス、NPSとはどんな製品なのか。
簡単に言ってしまえば、データベース(DB)ソフトとサーバ、ストレージを統合したものであり、非常にユニークな製品と言えるでしょう。従来のDWHは、DBならOracleやDB2、サーバだとTeradata、ストレージならEMCや日立などを別々に導入せざるを得ません。しかし、ネティーザのNPSは、それらすべてが一つにまとまっています。
NPSは、ユーザーが使えるデータ量が1テラバイト、2.25テラバイト、4.5テラバイト、9テラバイト、18テラバイト、27テラバイトという6種類で構成されています。
--NPSは、従来のDWHシステムと比較して、どんなメリットがあるのか。
その前に、Netezzaという会社の設立経緯について話しましょう。Netezzaの設立者であるJit Saxenaは、ストレージメーカーのData Generalに在籍していて、1990年代からはビジネスインテリジェンスのソフトメーカーで働いていました。そして2000年9月にNetezzaを設立しました。
Jitは、ストレージ、ビジネスインテリジェンス(BI)を経験していたことから、企業がDWHシステムで使う際に生じる問題に着目するようになりました。その問題とは、テラバイト級のデータを扱う時に、データを検索する度にストレージから大量のデータをCPUまで持ってくることで生じる遅さでした。
Jitは、この遅さの原因が、システムの中のデータの流れがボトルネックになっていることに着目し、より速いDWHシステムを作ろうとして、Netezzaを設立しました。2000年9月に設立されてから、しばらくは製品開発に集中し、2003年3月にNPSを出荷しています。
それで、NPSのメリットについてですが、NPSは従来のDWHシステムの10〜50倍の性能です。具体的に言うと、従来は1時間30分かかっていたクエリーを数十秒で行うことができます。つまり、バッチ処理をリアルタイムで行えるというわけです。
NPSは、Asymmetric Massively Parallel Processing(非対称型超並列処理)というNetezza独自のアーキテクチャで構成されています。このアーキテクチャは、SMP(対称型マルチプロセッサ)とMMP(超並列プロセッサ)の優れたところを組み合わせたものと言うことができます。
--主な用途としては、BIが一般的になるのか。
そうですね、既存のBIアプリケーション、たとえばBusiness ObjectsやCognos、Hyperion、Microstrategyなどをそのまま使うことができます。これは、NPSがSQLやODBC 3.0/3.5、JDBC V 2.0/3.0といった業界標準のインターフェースに対応しているからです。ですので、企業が現在使っているBIをそのまま使うことができるのも大きな特徴になります。
また、ETLツールなどのプラットフォームとして使うこともできます。この分野でもBusiness Objectsに対応していますし、Infomaticaなどをはじめとする主要なソフトに対応しています。
NPSの特徴としては、導入してから実際に利用するまでの時間が短期で済むということもあげられす。従来のDWHシステムでは、導入してから実際に利用するまでにはテストだけで2〜3週間かかります。ですがNPSの場合、極端な話、導入してから数時間あるいは1日で利用できます。
既存のDWHシステムではDBの物理設計やチューニング、インデックスが必要になります。しかし、NPSではこれらの作業が必要ありません。NPSのDBソフトは、Netezzaが自社開発したものですが、DBの最適化もすべてNPSが自動的にやってくれるので、ユーザー企業はインデックスをいちいち作る必要がないのです。
--導入してからは、どうか。
導入後の保守・管理コストも従来のDWHシステムに比べて低く抑えることができます。これは米のユーザー企業の場合ですが、そのユーザー企業は10テラバイト級のDWHシステムを使っていて、そのシステム管理のためのフルタイムで3人を専任ではり付けていました。しかし、NPS導入後は1人以下にしています。
ちなみに、NPSの筐体は19インチラックであり、1テラバイト、2.25テラバイト、4.5テラバイトだとラックが1つになります。ある日本企業では、DWHシステムをデータセンターで運用しており、そのシステムが3〜4ラックを占めているそうです。ここにNPSを導入すれば、ラックも1つで済むことになり、データセンターでの費用も低く抑えることができます。
このようにNPSは、初期導入と保守・管理コストを同時に低く抑えることで、TCO(総所有コスト)を削減するという点でも、従来のDWHシステムよりもメリットがあると思います。
--NPSの導入価格は目安として、1テラバイト当たり5000万円と聞いているが、実際の価格はどうなっているのか。
価格は公表していませんが、他社システムの約半額と言っています。価格には、ハードはもちろん、ソフトウェアのライセンスも含まれています。またストレージのディスクが故障した際の交換などのハードウェアの保守料金、パッチ適用などのソフトウェアの保守料金も、その価格に含まれています。