日本BEAシステムズは4月18日、200名以上の企業システム開発者を集めた技術セミナー「Dev2DevDays2006」を開催すると共に、商用ソフトウェアとオープンソースソフトウェア(OSS)を組み合わせることで最適な企業システムを実現するBEAの新戦略「ブレンドソリューション」を発表した。
現在、企業システム構築では、統合開発環境のEclipseやJava開発フレームワークのStruts、テストツールのSpringなど、さまざまなOSSがすでに活用されていることが多い。これらのOSSをすべて商用ソフトウェアに移行することは現実的ではなく、既存のOSSと新たに購入する商用ソフトウェアを有効活用しながらシステムを構築していくことが必要になる。
しかしOSSを利用するためには、バージョンアップやパッチなどをどのタイミングで適用するかといった問題や、トラブルが発生した場合にいかに対応するかなど、高度な知識が必要になる。BEAのブレンドソリューションでは、こうした課題を解決し、アプリケーション開発に高い生産性と拡張性を提供。サービス指向アーキテクチャ(SOA)の実装を加速化することができる。
- 「実際にOSSを作った経験を生かした製品作りを心がけている」とBEAのRoth氏。
BEA SystemsのWorkshopビジネスユニット担当バイスプレジデントであるBill Roth氏は、「OSSを仕方なく取り入れているベンダーやOSSと戦っているベンダー、さまざまなベンダーがあるが、BEAはブレンドするという戦略を選んだ。現実の問題としてユーザー企業はOSSを採用しており、誰かがサポートしなければならない」と話す。
「イノベーションはBEAの力だけで実現できるものではない。OSSに関わるコミュニティをはじめ、さまざまな企業や団体の協力によりイノベーションは実現される。ブレンド戦略はまた、企業の買収により手に入れるものではなく、コミュニティと共にOSSの開発に貢献することで手に入れることができるものだ」(Roth氏)
具体的な取り組みとしてBEAでは、StrutsやBeehive、Spring Framework、XML Beans、EclipseなどのOSSに対し、「Javaアプリケーションフレームワークに対する動作検証」「効率的な開発や管理ツールの提供」「実行プラットフォームの提供」という3つの取り組みを推進していく。
その一環として、BEAでは同社が開発した開発/実行フレームワークをApache Beehive Projectに寄与し、Eclipse対応を推進してきた。また、2005年9月には、Eclipseベースの統合開発環境である「NitroX」を提供するM7を買収。続いて11月には、オブジェクト永続化エンジン(Persistence Engine)「Kodo」を提供するSolarMetricを買収した。
今後、両社の製品群は、BEAの製品ラインに組み込まれることでブレンドソリューションを強化し、Javaアプリケーション開発をより低コストで効率化することが可能になる。BEAでは、ブレンドソリューションの一部の機能を評価することを目的に、「BEA Workshop for WebLogic Platform 9.2ベータ版」および「BEA Workshop Studio 3.0(旧NitroX Studio)」の2製つの品を提供している。
BEA Workshop for WebLogic Platform 9.2ベータ版は、2006年4月より提供が開始された「WebLogic Portal/WebLogic Workshop 9.2ベータ版」に含まれている。EclipseベースのWebLogic Workshop IDEとして、Apache BeehiveやWebサービス、ポータルアプリケーション開発をサポートする。製品版は2006年夏に米国で提供が開始される予定となっている。
一方、BEA Workshop Studio 3.0(旧NitroX Studio)は、米国ではすでに販売が開始されている製品。EclipseベースのIDEとして、Struts、Hibernate、Java Server Faces(JSF)、JavaServer Pages(JSP)など業界標準フレームワークに基づくアプリケーションの開発をサポートする。
今後、2つのWorkshop製品は、EclipseベースのIDEとして統合される計画。ひとつのIDEとして統合されることにより、Javaアプリケーションフレームワークの活用に最適な、包括的な開発環境を提供していく予定。両製品の日本での販売時期については、詳細が決まりしだい発表する予定だ。