技術的には無線LANの兄弟分、使われ方は携帯電話の親戚
このWiMAXは、技術的には無線LANや次世代携帯電話と同じ系統の無線変調方式群を採用しており、すでに普及している無線LANの兄貴分(アクセス範囲が広い。技術的には後発ですが)とでもいうべき位置づけにあります。
提供サービス形態としては、最大半径が10km超まで拡大できる「巨大な無線LAN」として提供されます。無線LAN同様、ノートPCに対応チップを内蔵したり、カード型端末などを差し込んで利用することが想定されており、伝送速度は当面は下り2〜12Mbps程度と予想されますが、技術的には100Mbpsも視界に入っています。
また、携帯電話向け高速データ通信の補助通信システムとして、従来型の携帯電話に第2の無線チャネルとして内蔵される可能性も高いと考えられます。この場合、1つの基地局のサービスエリアから、他エリアへの切り替え(いわゆるハンドオーバー)が実現されるため、サービス地域が非常に狭く、使い勝手のあまり良くなかった無線LANに比較して、携帯電話に近い使い勝手を、現実的なコストで実現することが期待できます。
背景と取り組み
このWiMAXは、米国市場における1980年代からの広域対応無線アクセス技術(Fixed Broadband Wireless Access:FBWA)と1990年代からの無線LAN技術(いわゆるWi-Fi)の2つの流れが合流したものです。インテルなどによる機器互換、相互接続性確保の取り組み(将来的には無線LANに続いてWiMAXもノートPCなどに標準機能として搭載していくという展望が示されています)によって、注目を集めるとともに、開発が推進されてきました。欧州を中心とした国際電気通信連合(ITU)などの携帯電話系技術ではなく、LANに代表される米国発の技術と言えます。
要素技術としては、上記で触れたように、広域無線アクセス技術と無線LANに代表されるチップ開発などが進められており、第3世代以降の携帯電話などでも採用が検討されているOFDM(直交周波数分割多重方式)を、基本的な伝送技術として採用しています。これらの基本技術に加えて、LANと同様、同一エリア内の加入者が同時にサービスを利用できる機能の実現、移動体通信への適用を想定した各種補助技術(位置管理など)をオプションとして順次追加しており、市場の変化、地域特性(都市部、郊外など)、サービス特性(固定、移動対応)に応じたサービス提供が可能となるよう配慮されています。