「コンテンツ管理分野は、今多くの企業が注目している。EMCでは2003年にDocumentumを買収し、いち早くこの分野に参入した」--こう話すのは、EMCのEMCソフトウェアグループ ストラテジックマーケティング担当ディレクター Naomi Miller氏だ。同社は8月31日、ILM(情報ライフサイクル管理)の中で重要な役目を果たすコンテンツ管理分野について説明会を開催した。
Miller氏が言う「コンテンツ管理分野に注目している企業」とは、OracleやIBM、Microsoftなどのことだ。こうした企業に先駆けてこの分野に乗り出したEMCは、「IDCの調査でも、この分野における世界シェア1位だ」とMiller氏は述べた。
Documentumの買収に加え、EMCはコンテンツ管理およびエンタープライズアーカイブ分野のソリューションを提供するCaptiva Softwareを2005年10月に買収している。紙で作成された文書をデジタル化することで、データの紛失を回避し、情報へのアクセスが容易になる。
過去4年間で約40億ドルを費やし、20社ほどの企業を買収したEMC。買収した企業のほとんどはソフトウェア企業だ。EMCジャパン 執行役員 EMCソフトウェアグループ本部長の安藤秀樹氏は、「買収でスピードを買っている」と話す。自社で1から開発するより、すでにあるものを買収する方が早いというわけだ。「買収によるデメリットが全くないわけではないが、見返りの方がずっと大きい。買収戦略はうまくいっている」と安藤氏はいう。
現在のEMCの売上の中で、ソフトウェアの占める割合は約40%。サービスの売上は17%で、すでにハードウェアの売上は半分以下となっている。元来ストレージベンダーとしての印象が強いEMCだが、「ソフトウェアはILM実現のためにも戦略的な位置づけだ」とMiller氏は主張している。
4月には、NECとのグローバルアライアンスも発表している。この提携において両社は、ストレージの開発技術や販売チャネルを共有することはもちろんだが、「コンテンツ管理もテーマのひとつになっている」と安藤氏。SAPデータのアーカイブや、日本版SOX法対策、リッチメディア管理、Eドキュメント管理などが両社のフォーカスする分野だ。
安藤氏は、DocumentumやCaptiva製品を販売するにあたっては、「パートナー戦略が重要」と語る。特に、日本版SOX法については、「ツールだけでなく、コンサルティングスキルも必要」として、ビジネスコンサルティング企業との協業も視野に入れているとした。