労働スタイルの変化に伴う人材の流動化や、団塊の世代が一斉に定年退職を迎える「2007年問題」などに端を発し、企業内に存在する有用な「知識」を共有し、継承していく、いわゆる「ナレッジマネジメント」(KM)に対する関心が、今、改めて高まっている。
企業内の個人に蓄積されている暗黙知を表出させ、それを共有し、活用するというKMのコンセプトをITの側面から支援するシステムとして、いわゆる検索システムやグループウェア、ドキュメント管理システムといったツールが、これまでも広く利用されてきた。
一方で、これらのツールを使ってKMを進めようとしたものの、「うまく情報が集まらない」「情報はたまったが、それを知識として活用できない」といった問題に直面する企業も多い。こうした問題を回避し、企業内の情報を知識として活用するために必要な条件とは、どのようなものなのだろうか。
企業のKMに関するソリューションビジネスを展開している東芝ソリューション、プラットフォームソリューション事業部プラットフォームソリューション第四部ビジネス基盤ソリューション第二担当参事の水原徹氏は、企業のKMを効果的に進めるにあたって必要な条件を「膨大な情報をきちんと整理し、体系化し、可視化すること」であるとする。
また、情報の収集においては、業務の中で最終的に生まれる「成果物」以上に、その成果物が生まれるまでの経緯やコメントといった「付加情報」が重要だとする。
「成果物だけを残しても、知識は継承できない。成果物という最終的な情報に対して、そこに至るまでの経緯やコメントといった付加情報をも合わせた形で収集し、それらのすべてを体系化し、共有することによって、情報の価値を高め、知識として継承していくことができる」(水原氏)
ただ、これらの情報をデータとして蓄積していく作業は、日々業務を行っている現場の人々の手によって行われる。この作業に多大な手間がかかるようでは、現場の理解を得られず、最終的に「必要な情報が集まらない」という事態が起こってしまう。
水原氏は、「成果物に対する付加情報を文書化して提出しろ、といっても、現場はなかなかそれに応じてはくれない。そうした情報は、日常の業務の中で、自然とシステムの中に残っていく仕組みを作る必要があり、そうでなければKMは成功しない」と言う。
情報を業務と結びつけて蓄積する「KnowledgeMeister Succeed」
「業務の中で生まれる成果物に加え、そこに至るいきさつなどの付加情報を、日常業務の中で自動的に蓄積していき、必要に応じてそれらを参照できるように体系づけて整理しておくシステムが必要である」というのが、「KMを支援するIT」に対する同社のスタンスだ。
同社が2006年3月に発売した「KnowledgeMeister Succeed」は、これらの条件を満たし、大規模かつ継続的な運用が可能なKMプラットフォームであるという。同社は以前から、各種サーバやデータベースからの情報収集、検索、コラボレーション、文書管理などを可能にする一連のKM支援システムを「KnowledgeMeister」というブランドで展開している。その最新ファミリーとなる「Succeed」では、業務を進めていく「プロセス」に特に着目し、そのプロセスの中で、自然に情報が蓄積され、知識化されていくという仕組みを提供している。