ウルシステムズとサイベースは10月31日、流通業向けの次世代XML-EDI分野で協業することを発表した。この協業により両社は、UMLaut/J-XMLオールインワン製品を提供。流通業界における新たな市場を開拓する。
UMLaut/J-XMLオールインワン製品は、ウルシステムズが10月18日に発表したXML-EDI準拠の次世代流通業向け電子受発注システム「UMLaut/J-XML」とサイベースのデータベース管理システム「Sybase Adaptive Server Enterprise(ASE)15」およびオペレーティング・システムなど、流通業界向けに必要な機能を組み合わせたオールインワン製品。ハードウェアやソフトウェアを個別に選定し、導入する場合に必要となるインストールやチューニングの手間を軽減し、必要な機能をバラバラに導入する場合よりも低コストでXML-EDIを実現できる。
ウルシステムズの代表取締役社長、漆原茂氏は、「従来のミドルウェア製品は、非常に高額で中小規模の企業には手が出せなかった。そこで、必要な機能を低コストかつ少ないカスタマイズで提供できる仕組みが必要だと考えていた。それには、必要な機能をオールインワンで提供できる製品が必要だと考えた」と話す。
同氏はまた、UMLaut/J-XMLオールインワン製品に組み込まれるデータベースにサイベースのSybase ASE 15を採用した理由について、「高い技術力と柔軟性、そしてコストパフォーマンスを評価してサイベースと協力することを決定した」と話している。
流通業界における中堅・中小規模の企業では、「最も利用されているEDIツールは“FAX”だ」という笑い話もあるとおり、物理的なサプライチェーンのスピードに比べ、情報伝達のスピードに差があることが大きな課題のひとつとなっている。このような課題を解決するためには、「基幹業務である受発注処理に耐えうる信頼性と性能を持った低価格で手軽に導入できるソリューションが不可欠だった」と漆原氏。
発表のため来日したSybaseのIT&テクノロジグループ担当バイスプレジデントであるDr. Raj Nathan氏は、「流通業界では、モノの移動の効率化とともに、情報の移動を最適化することが重要。情報のサプライチェーンを最適化するためにはオールインワンの統合されたソリューションが必要であり、ウルシステムズとの協業には大きな期待を寄せている」と話す。
また、サイベースの代表取締役社長、早川典之氏は、「2006年8月にSybase ASE 15を発表したときに、ASEのビジネスを変革させていくという話しをしたが、今回の発表はその一環となるもの。今後は、他の業界にもASEを組み込んだソリューションを展開していきたい」と述べた。
UMLaut/J-XMLオールインワン製品の最小構成価格は850万円より。今後両社は、次世代XML-EDI市場の開拓および啓蒙活動を共同で展開。マーケティング活動や営業面で協力することで、国内流通業における次世代XML-EDIの早期普及を目指すとしている。