#5:マルチモニタの使用が格段に難しくなったのはなぜか?
マルチモニタのサポートに関する問題がなければ、もっと早くに諸手を挙げてVistaを受け入れることができただろう。わたしの場合、これまでに行った新しいコンピュータの設定では少し悩まされたことも何回かあったが、複数のモニタを日常的に使い始めたのはWindows 2000の頃にまで遡る。
Windows XPではマルチモニタのサポートが完璧だった。それは真のプラグアンドプレイであった。コンピュータのPCIスロットに2枚ないし3枚のビデオカードを差し込み、モニタを接続すると、XPはほとんど常にそれらを認識した。
そしてVistaが登場した。わたしがATI x600 PCIeカードで2台、Matrox 450G PCIカードで2台の計4台のモニタを接続したXPマシンにVistaをインストールしたところ、Aero Glassインターフェースを表示できたのは最初の2台(ATI)だけで、後の2台(Matrox)には何も表示されず、真っ暗なままだった。調べてみたところ、そのMatroxカードはVista対応ではなかったため、広告にVista対応と謳われていたGeForce 5200カードを購入した。しかしそれでもだめで、3台目のモニタには何も表示されなかった。
そしてついに、Microsoftのウェブサイトでマルチモニタに関するドキュメントが公開され、複数のビデオカードを用いてAero Glassを実行させるためには同じWDDMドライバを使用しなければならないということが明らかになった。異なるWDDMドライバを使用する2枚のAero対応カード(例えば、ATI社製のカードとnVidia社製のカード)がある場合、Vistaは2つのドライバのうちの1つを無効化してしまう。WDDMドライバよりも古いXPDMドライバを用いれば同時に複数のカードを使用することが「可能」であるとわかったものの、その場合にはAero Glassインターフェースや、それがもたらすVistaの魅力的なビジュアルをあきらめることになる。わたしは現在、GeForce 7900カードとGeForce 5200カードを使用することでVistaマシンに3台のモニタを接続しており、両者の連携に問題はない。図Eはわたしのマルチモニタシステムの写真である。

Vistaにおけるマルチモニタのサポートはまだ、XPのものほどには安定していない。わたしはRTM版を利用しているが、それでもシステムを立ち上げると、OSから見たモニタの位置付けが入れ替わってしまっているという不可解な現象がときおり発生する。中央のモニタに表示されるはずのタスクバーとサイドバーが右側のモニタに表示されるのだ。つまり右側のモニタがプライマリモニタとなってしまうのである。これは画面のプロパティダイアログボックス(図F)で簡単に元に戻すことができるものの、煩わしい。XPで実現されていた、ユーザーの手を煩わせないマルチモニタサポートがなくなって不自由な思いをしている。
