SAN(Strage Area Network)スイッチ/ダイレクタ大手の米Brocade Communications Systemsは2007年1月に、同じ分野の大手McDATAの買収手続きを完了している。そのBrocadeで最高経営責任者(CEO)を務めるMichael Klayko氏とSolutioneerを務めるAJ Casamento氏が、日本法人のブロケードコミュニケーションズシステムズが開催したユーザー企業向けイベントにあわせて来日。McDATA買収の目的や、Brocadeが進める戦略などについて語った。
Klayko氏はMcDATA買収の背景として「SAN環境でのユーザー企業の既存投資を保護し、価値を最大化するためのより広範なソリューションとサービスを提供したい」との狙いがあったことを説明する。BrocadeとMcDATAが提供する製品群が似通っていたために、今回の買収がBrocadeのOEM先やパートナーからは歓迎されていると語っている。
こうしたことから今回のイベントにおいて、Brocadeでは、今後のMcDATA製品群との統合をいかに進めていくかロードマップをはっきりさせている。もともとMcDATAが提供していた管理ソフトの「McDATA EFC Manager」は名称を「Brocade EFC Manager」に変え、すべてのBrocade SAN製品用の統一管理ソフトとして継続されることになる。また、Brocadeが提供していた管理ソフト「Brocade Fabric Manager」の主要機能をBrocade EFC Managerに統合されていくことになるとしている。なお、もう一つの管理ソフト「Brocade SAN Health」はEFC Managerと平行する形で存続することになるという。
ハードウェアでは、McDATAのSANルータ「McDATA 1620」と「同2640」は、BrocadeのSANルータ「Brocade 7500 Router」と統合する形で「Brocade 7500 Multi-Protocol Router」になっていくという。なお、BrocadeのSANルータ「Brocade FR4-18i Multi-Protocol Router blade」、McDATAのメインフレームエクステンション「McDATA Edge 3000」と「McDATA USD-X」は当面継続されることになっている。
Klayko氏はまた買収の背景には「ユーザー企業の情報管理での課題を解決するために、次世代のソリューション群を迅速に提供するために技術革新を加速化させる狙いもあった」と説明する。そうしたBrocadeは、次世代データセンターとして「Data Center Fabric(DCF)」と呼ぶソリューション群の提供を進めている。このDCFとは、データセンターにあるストレージをSANでネットワーク化するとともに、「File Area Network(FAN)」と呼ばれるファイルサービスからなる。
従来SANは、それぞれが個別に形成されることで“会話”のできない「SANアイランド」が点在することになっていた。しかしSANコアスイッチを利用することでSANアイランドを統合、あるいはSANルータで論理的に統合することで、管理の効率化を図るようになっている。こうした動きに対して同社では、データの移行やアプリケーションワークロードの動的な移行などの機能をネットワーク上で提供、データに関連するシステムリソース管理に関する課題も解決するという。
一方のFANとは、広域ファイルサービスの「Brocade WAFS」やグローバルネームスペースの「Brocade Storage X」などのソリューションを通して、ファイルサービスもデータセンター内に集約・統合するというものだ。
同社がDCFを進める際の問題意識として、次のようなものがあるとKlayko氏は語る。
「ユーザー企業の61%が“ストレージの管理・維持コストと複雑性を削減したい”としている。また“遠隔拠点間でのレプリケーション、またはデータセンター間でのデータ移行を実現したい”とするユーザー企業は40%存在している。Brocadeが進めるDCFは、こうしたユーザー企業の要望に応えられるものと信じている」